Si-Sook Kang 韓国出身のドイツ陶芸家






この日、たまたま我が家を訪れた知り合いの陶芸家に誘われて
陶芸展オープニングに行きました。

シュタウフェンという町にある陶芸美術館です。フライブルクから車で30分弱の距離。
到着するまでの間、窓から見えるのは、葡萄畑、ブドウ畑、また葡萄・・・・でもまだ
もちろん葉っぱも房もない、畑が丘をうねりながら覆っています。
この辺はバーデンワインの真っ只中。



展覧会は1962年、韓国生まれの女性、Si-Sook Kang (カンクさん)の作品

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オープニングの紹介では

東洋、長い陶芸の伝統を持つ、中国と日本の橋渡し的な存在だった韓国に生まれたにもかかわらず、
子ども時代、友達の家や、おじいちゃんの陶芸工房を何度も観にいったことがあったにもかかわらず、
陶芸家になるなんて、考えたこともなく、そのような仕事場のシーンを「すごいんだ!」と思ったのは、ドイツにきてからのことだった。(この表現をヨーロッパでは、アジアの陶芸家に対してよく使う。)

そのドイツにだって、初めは長く居るつもりはなかった・・・
工業デザイン学校で5年勉強し、その関係でドイツを通過してアメリカに行くつもりだった。
ところがドイツ南のはずれミュンヘンで、出遭った人から、北のはずれキールのある美大教授を紹介された。「その人は数年前に韓国でグループ展をしている・・・韓国のことを知っているし、もっと知りたがっている・・・。」

たったそれだけのキーワード(韓国)で、彼女はアメリカに行くこともなく20年間ドイツに住み続けることになった。キールの教授は陶芸指導者で、彼女はその元で陶芸技術を習得したばかりか、現在のだんな様とも出会う。。そして3人の子持ちになった。

肝っ玉母さんという言葉が似合いそうな、背の高い、はつらつとした女性である。
ドイツにくるまで、自国のことも、育った環境で見ていた陶芸のことも深く考えなかったというのは、良くわかる。そしてドイツで初めて陶芸技術に接した時、ストレートに韓国の伝統陶芸に向っていった。

初めは土を韓国から取り寄せた。今回の展覧会に出品されているものは、全てその韓国産の磁器土で制作した。青磁釉を狙っていたので、それには素地の白さが重要で、中央ヨーロッパでもっとも良質といわれるフランス・リモージュの土も、やや黄色味を帯びていると思ったからだ。しかし土の取り寄せはとても複雑で煩雑な税関通貨が必要で、高いものに付いた。だからもう韓国の土を使えるかどうかわからない。

最近ヴェスター・ヴァルトの知り合い陶芸家や他の何人かと組んで、オーストラリアの磁器土をまとめて購入する話がある。どんな土か楽しみだという。それに前ほど素地の真っ白さにこだわらなくなってきた。素地の色によって釉薬の配合を変え、それによってイメージされる形が変化するのを、探すようになったという。


釉着色材の鉄には愛着があるそうだ。青磁釉に配合するときの極僅かな微妙な量。逆に多量に添加する黒釉と、全て鉄から生まれる色のバリエーションで、制作している。この配合のバリエーションはまだまだ出てきそうだ。

それにしても、黒釉の大皿は大きい!
出来上がり直径65Cmはある。磁器土は25%縮むから、轆轤成形時は80Cm!!その大きさ分の土練を考えては驚き、その大きさが入る窯を考えては驚いてしまう私。なるほど大柄な彼女ならやってしまいそうだ。





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by kokouozumi | 2009-05-31 07:04 | 陶芸 | Comments(17)
Commented by M野 at 2009-05-31 17:56 x
 血を感じる器ですね。
 今日は近所の大学の茶会に行きまして、60周年の記念茶会なのでどこから湧いてきたのか良く解らない器をたっぷり見てきました。室町の萩水指し、桃山期の茶碗とか?落ち着きませんでした。
 帰ってきて、この作品をみて落ち着きました。
Commented by tomato at 2009-05-31 23:05 x
蓋のつまみにも何か違った趣きが感じられます。
やっぱりお国柄が出るのでしょうか。
やっぱり人生は出会いなんですね。
その出会いに気づくか気づかないのか。
気づかずに通り過ぎて、また違う出会いがその人の運命を変える。
結果論ではありますが、生きることの面白さを感じます・・・・
Commented by 河西文彦 at 2009-06-01 04:55 x
韓国の(渡りの)青磁と聞くと、豊臣秀吉を思い つい韓国人に引け目を感じてしまう。それにしても 綺麗なものですね!やる気が無くて来たドイツで 「縁」が出来て 陶芸にのめり込む。まさに 人生縁に始まり 縁に終わるです。私も 1970年の10月ベルリンに来た時には、契約の2年で 帰国予定でした、、、 今思えば 玉手箱を開けたみたいですというか 杜子春 の バーチャル体験みたいな人生です。
浦島太郎もまさかそんなに「長居」をするなんて思わなかったのでしょう。俺の 乙姫様は 今いずこ。    へへへ それにしても 綺麗な磁器ですね。これを 手でこねくり回して作る人が居るなんて。
Commented by うお at 2009-06-01 07:14 x
M野さん
茶祖というのだそうですが、そのような人が茶碗ではなかったものを大変な器として取り上げた。名のあるものを並べるのと、茶道の本来のあり方は違うと思うのですが・・・良く判りませんが、お茶をたしなんで落ち着きたいものですよね。

カンクさんの作品は、感じられるように彼女の血であり、彼女のもので、それ以外に何もない、というほっとした雰囲気がありました。技術、力量などを考えずに、鑑賞者を器に向き合わせる・・・良い展覧会の一つだと思います。
Commented by うお at 2009-06-01 07:46 x
Tomatoさん
蓋のつまみが面白かったです。デコレーションがそのささやかな部分だけしかなくて、器全体を引き締めていますね。

運命の糸は見えないもので、見えたら人間むしろ混乱するのかな。一つの場所にじっと生きていても、昨日までつまらなかったものが、突然大事なものとして出会えたり、ほんとに面白いものですね。

猫だって、美味しい餌を食べたら、良かった!と思うのかな。うん、なんか作ってあげよう!


Commented by うお at 2009-06-01 08:20 x
河西さんも
ベルリンから始まって、ドイツの生活もう40年になるのですね。

ヨーロッパからの見方で、中国と日本陶芸の橋渡しをした韓国と、言われてしまうとなんだかはっとしますね。九州の磁器鉱山を見つけたのも韓国から来た陶工だったのですが、故郷と同じ風景の場所にまずポイントを絞ったということです。陶工は決してこねくり回さないという、作法もその段階で伝えたのではないかな。
Commented by 寛太 at 2009-06-01 20:14 x
うーーーん 血が騒ぎます なんかうらやましいな
制作できない状況でこんなの見ると頭にどんどんアイデアが湧いてきます 自分の血に多分に韓国の血が入っているせいもあるんでしょうが

私の経験では 韓国人は 海外で自分を売り込む技を日本人よりずっと持っています 中国人はもっとですがお金にうるさいところが一般的に難
韓国でこの展示をしたらどういう評価を受けるかは分かりませんが 少なくともここではこういう作品インパクトあると思います

じゃあ自分がと言うと ここまで日本の伝統的な作品作れるんだろうかと言う疑問は湧いてきます

なんにしても 疑いのない これしかない と言う作品から発する 意思 は感じられますね これもうらやましい
Commented by 河西文彦 at 2009-06-02 04:17 x
うおさん! 猫に美味しいえさだって? 御存知ですか《猫飯》って
その下の位には 猫またぎ(跨ぎ)とにかく猫に 美食は合いませんよー。子供の頃飼っていた 雑種の 《ちび》 わけあって、保健所に 渡しました、1週間後に松本へ引き取られるということで それまで諏訪保健所預かりでした、毎朝 あまりご飯に 味噌汁をかけたものを
届けたのですが。保健所の叔父さんが親切に 時々「食パンに ハムを挟んだものを」あげたのだそうです(私の方がつばがでてきます)けれど 叔父さんからの食べ物は一切口にしなかったそうです。私の持って行く 味噌汁ぶっ掛け飯ばっかり食べていると聞いて 嬉しくも悲しくなりました。自分が面倒見なかったため、母親が保健所に渡したのだけれど。今でも ごめんと謝りたい気持ちになる。でも冬の朝1週間 1升ビンに味噌汁入れて 運んだのが 懐かしい。何しろ末っ子だったから 下に 弟か妹が欲しかったので その代理だったのか よく色んな小動物を飼った、チャボ 伝書鳩、 鶏 兎 ヒワ そして ちび。
Commented by うお at 2009-06-02 06:39 x
寛太さん
仕事場が整う日が待ちどおしいですね。

同じ言葉を話す間でも、理解は難しいものですが、他国の人の印象は、それぞれの出会いによりますね。私の思い出。野焼き祭りで出会った韓国の陶芸家。アクションたっぷりに土をたたき出した!練るのではなくひたすら、棍棒で叩いている。で、出来上がったのは一本の剣。つまり土を刀打ちみたいに叩いていたわけです。ドイツから参加したゲスト2人、頭を寄せてなにやら考えていた末に「これは藝術だ!」と結論しました。夜になってドイツやオーストラリア、ベトナム、インドのみんなが集まり、焼酎が並び、いざ宴会が始まろうとするとき、その韓国選手お茶道具を持って登場。みんなでお茶をおつまみに酒盛りです。ははは、もう思い出しただけで可笑しくなります。

作品との出会いも、人との出会いもあるいははかないものかもしれません。そのとき見たものが、その人の一瞬の感情として記録に残りっていくようなものかもしれません。そこから一つの公式が生まれるとしたら、それは見た人の全く個人的なものでしかないと思います。

そうやって、個々の確固たるものは作られていくのでしょう。
Commented by うお at 2009-06-02 06:52 x
河西さん
何度も楽しい書き込みをありがとう。
私の「美味しい餌」の一言で、また思い出話を聞かせてもらいました。チビちゃんは知らない場所で1週間慣れ親しんだ猫飯が出てきて嬉しかったでしょうね。

そこなんですよ。いえね、昨今の猫飯といえば何処のスーパーにでも種類豊富に売られている缶詰商品なんです。メニューも豊富だし、値段も様々でグルメ用まであるかもしれない。飼い主は犬猫病院で、そういった餌がペットの健康に良い・・・みたいな指導もされるのです。でもそれしか食べなくなったら、なんだかつまらない(人間が勝手につまらなく思うのですが)時には残り物のご飯も食べるように、塩味とか気にしながら作ってみるのです。猫達が食べると喜ぶ私。馬鹿ですね。
Commented by 河西文彦 at 2009-06-03 05:15 x
ははは! ノーコメント  です。 
Commented by glueck at 2009-06-03 15:54 x
なんてタイムリー。
今私の方で書いている散歩記ですが、そのお散歩途中に
韓国人の陶芸アトリエを見つけたのですよ。
日曜だった為閉まっていたけれど、カードが店前にあったので
取ってきたのですが、無くしてしまいました・・・
また、土曜日にでもお散歩に行って中を覗いてみたいなと
思っていたところでした。
Commented by うお at 2009-06-04 01:55 x
glueckさん
フランケンシュタイン・・じゃなくてファルケンシュタイン城までのお散歩ね。私はすっかり思い込んでいました。だめね~。
でもタイムリーなやり取りができてよかった!そのアトリエ楽しみです。取材お願いしま~す。

しかし我々のアトリエはどうなるのでしょうね。他人事は簡単に楽しみだけど、我々の身に降りかかることは・・はらはらどきどき・・です。

今週末も良いお天気でありますように。
Commented by 河西文彦 at 2009-06-05 06:00 x
白い器も良いですが、4番目の「茶色」って言ってよいのでしょうか、この色すきですね。赤や 青の 目立つのは 敬遠です。特に自分で
お茶やコーヒーを飲むならこんな色合いの器がいいですね。
Commented by tarutaru953 at 2009-06-06 21:33
お久しぶりです。うおちゃんの方がいいの作るよ。日本人の方がデリケートです。
Commented by うお at 2009-06-07 03:20 x
河西さん
その色が好きですか。
お茶、コーヒーは味覚と視覚からも気分をくつろがせる要素がありますね。器作りで茶碗は結構制約があります。お茶の色をきれいに見せる色合いは、試してみないと判らないところがあるのです。一概に白がいいとか、茶がいいとか決められなくて、何か釉調合の成分にも影響されるようです。
しかしながら、器から美味しいお茶を想像するのは、鑑賞の自由な楽しみですね。
今週末、またちょっと涼しくなりました。それが過ぎたらまたわっと、暑くなりますよ。2通にまとめて返信にて失礼。
Commented by うお at 2009-06-07 03:39 x
Taruさん
えっ!なんか悪いもの食べた!って、冗談で切り返せるのも、同級生のよしみですね。来週いよいよ同窓会ですよ。学年1,2の美人同級生を迎えるので、もう寛太さんふわふわですよ。ははは。

で、日本人にはいったいどれだけ入り混じった血が流れているのだろうと思うくらい、残された美術工芸品には、確かに繊細なものを感じますね。(それが私に当てはまるものではないですが)
デリケートな故に、寛太さんがいう、自己主張のへたなところや、自作への猜疑心も、生まれてしまうのかもしれません。
青磁ではなく政治となると、世界の中で、「もっとはっきりして!」と言いたくなる日本・・・ですね。


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