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Markthalle oder マルクトハレ または・・・









街角で出会った市内歴史ツアー、中世の魔女狩り編をガイドする人
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最近続けて2本も映画を観てきました。しかも2本とも話題作またはアカデミー賞受賞作品という私としては珍しくメジャーな路線でした。いずれもこれから見に行く人がいると思いますからタイトルだけお伝えすると『朗読者』『スラムドッグ・ミリオネア』

私が訪れる映画館はいつも決まっています。旧市街にありながらこじんまりとした「ハーモニー」。旧市街中央を十字に交差する大通りから一筋奥まった小路にある古い映画館です。通りそのものに、なにか隠れている街の古い面影に突然気付かされるような雰囲気があります。「シネマックス」という(いかにもな名前の)大映画館と同時に新作が封切り上映されますが、劇場がどの部屋も小さいので封切りの熱狂的?な混雑を感じることなく観ることができます。それから私にとって重要なのは劇場の様子をほぼ把握していること。たとえばルーム1から3までは中央に通路が走り客席がそこで前後に分かれているとか、5,6,7と番号が大きい部屋は通路無しの小部屋であるとかを知っていること。それがなぜ重要かというと、つまり私はちびなのでシートに深く沈みこむ必要はないものの、前の席にドイツ人(ドイツだから当然ですが)が座るとなんだか邪魔なのです。それで前に絶対誰も座らない席というものを把握していることが・・・それが重要なことです。通路の直後、ペア席の後ろ(これは映画館のチケット売りのお兄さんから教えてもらった・・『大抵誰も座らないよ!』)を予約!!

さてここから話は曲がります。
予約したチケットを受け取ったら後は映画が始まるのを待つばかり・・・売店でポップコーンを買うほどの映画館通ではないし、時計を気にしながら付属のカフェレストランンに座り込むつもりもありません。10分や15分の待ち時間があったら、私は散歩気分でハーモニーの並びにあるマルクトハレへ向います。いわゆる雑居飲食ホールです。そこへ食事のために立ち寄ることはあまりないのですが、ひやかしにホール内をうろうろするのが好きです。マルクトハレを通りすがりに覗くと入り口から細い通路沿いに野菜や果物の箱が並び、知らない人は市場と思うでしょう。しかし細い通路を奥に進むと突然ホールの広がりが出現します。中華、ベトナム(鮨もある)、インド、イタリア、ギリシャ、ブラジル、アラブ、ペルーそれにドイツ代表はバーデンソーセージが中央の花形屋台シャンペン専門店を取り囲んでいます。さらにカフェ専門、ケーキ屋とデザート部門もクリアして、一応インターナショナルに何でもありの飲食ホールです。立食ですがインビス(ファーストフード)的に安いわけではありません。しかし座席を見つけウェイターが注文をとりに来るのを待ち、さらに支払いもウェイターがやってくるのを待つレストランに入るより短い時間で食事が進行するので、私の知人でもオフィスから毎日そこに通っている人がいます。そこで日替わりメニューのようにカレーだったり、焼きソバ、ピッツァでさっさとお腹を満たしてから、カフェに移動してゆっくりコーヒーを飲む時間が残る、さらにちょっとした用事も昼休み中に済ますことが出来るというのが、勤め人のマルクトハレ利用方法。

インターナショナル、エキゾチックというのが大袈裟に感じられるほどの控えめな空間です。以前デンマークのコペンハーゲン駅を『旅人に優しい駅』と名づけました、それはこのマルクトハレより数倍大きな駅ホール全体がこの雑居屋台状態だったのです。南ヨーロッパからコペンハーゲンにたどり着くには夜行列車で早朝到着が多いのですが、列車を降りた途端に北のちょっと肌寒い空気に身構える旅人を湯気の立つ屋台が迎えるわけです。現在あの駅はどうなっているかな。

それとどう関係があるというのではなく、控えめであっても料理した品々が並ぶのを目にする空間は、これから映画を観ようという期待感を抱えたものにとって、本屋、洋品店、雑貨屋といった街中のどの場所より頭の中を空っぽにすることが出来ます。とりあえず単に映画館のポップコーン売り場前でうろうろするよりはマルクトハレに行ってみようと、いつも思います。








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映画館「ハーモニー」のある通り


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映画館のカフェレストランがある建物は古いようだ

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散歩に向ったマルクトハレの入り口では靴磨きが営業中



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僕と孫も写してよ、と靴磨きのお客



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隣のイタリアン酒場『オステリア』入り口では素敵なご夫人が一休み


そして又マルクトハレに入るとき、ふと上を見上げたら・・・・・
あれ!


続く
Commented by tomato at 2009-04-13 06:06 x
そのMarkthalleというのは
形式はショッピングモールのフードコートみたいで、
料理の内容はしっかりしたもの、という感じなのでしょうか。
忙しい現代人には欠かせない形式と思われます。
丸の内あたりにでもあればいいのですが、
小規模のものはあっても大規模なものはたぶんないと思う。
レストランが客を奪われること間違いなし、ですからね・・・・

オーストラリアのフリーマントルという港町にもありました。
鮨からインド料理から、ありとあらゆる料理。
戸外で食べて、後片付けだけ店員がやってくれるやつです・・・・
Commented by うお at 2009-04-14 04:39 x
Tomatoさん、お早うございますかな?
こちらは日本のゴールデンウィークより一足先にオースター(復活祭)の連休を過ごしました。毎日上天気です。

もしかしたら、昨年のオーストラリア旅行のお写真でフリーマントルのマルクトを拝見していたような・・・。サンフランシスコの港にも・・・私の育った港町にも魚市場にもっとも美味いすし屋があったり、船員さんたちが利用する食堂が並んでいました。港町独特の必要性と特権(新鮮なものが目の前にある)ですね。

ヨーロッパのマルクトハレは、中世の聖堂を取り囲んで開かれる(昔は礼拝のある日曜日だった)物々交換に近い市場に元をたどれる場合もあります。ドレスデン、ベルリン、シュトットガルトは100年近い歴史があるようですが、フライブルクは20年ぐらいで、まさに現代人の要望から始まったようです。近隣のレストランとの融合が面白いです。続きでその辺のこともお話できるかな?
Commented by 河西文彦 at 2009-04-14 05:25 x
昔々ソフィアローレンの「ひまわり」を 見てた頃、ベルリンの映画館はすべて 予約でした。 自分はいつも座る席を決めていて、しかもあの頃は(今も?)案内の女性が居ました。休みの日には 必ず映画を
ベルリン映画祭の時は 3軒 掛け持ちで見ました。フランス映画の
ジャンギャバン トシモーニュシニョレ 主演「die Katze」 全然吹き替え無しだったのに 面白かった何しろ 口を聞かない 老夫婦の話だから  フランス語でも  問題なしだった。
Commented by うお at 2009-04-15 07:00 x
河西さん
ソフィアローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、ジャンギャバン、さらにリノヴァンチェラと・・この頃の俳優達は存在感ありましたね。ベルリンの映画館は面白いところが沢山あったのではないですか。私もベルリンで通りすがりの壁に張ってあったポスターが気になって、そのままその建物の中、小さな映画館に入ってしまったことがあります。ジュリエット・ビノシュの『ポンヌフの恋人』でした。
「die Katze」は観ていませんが、アラン・レネのスモーキング・ノースモーキングも吹き替えなしと監督が注文をつけた映画でした。トータル200分以上の長さで2回に分けて上映しましたが、最も小さな劇場で約20人前後のお客さんの半数は前半30分ぐらいで帰ってしまいました。演劇畑の男女の俳優だけで演じたもので、動きが素晴らしく面白がってみていました。ドイツの観客はせりふがわからないとつまらないのかな?
映画の話になると止まりませんね。古いもので見逃したものをビデオで・・・と思っているうちに、新しい映画が周りで次々話題になったり、映画館はなくなりませんね。
Commented by 河西文彦 at 2009-04-15 13:06 x
高校一年生の 春の合宿 サボって 見に行った、駅馬車 フロッグマン ジョンウエイン リチャードウイドマーク 東京にでてからは 座頭市 ベルリンでは バドスペンサー ドイツ人が  ブドスペンサーと読むのには 笑いました、名作座みたいなところで 日本の古い映画
衣笠監督 黒澤監督 などなど  見られたのは 嬉しかった なにしろ 戦前の日本映画なんて  ね! 映画の好きな人は みんな
良い子が多い  と自負  しています。
Commented by うお at 2009-04-16 08:13 x
河西さん
映画の好きな良い子印太鼓判をぺこん!何しろ以前伺った『第三の男』の話はすごかった。第三の男が何をしたのか?何かを闇で扱ったらしいのは判る・・・でもそれがペニシリンだったという話、私は覚えていなかったです。
衣笠監督 黒澤監督の戦前作品は私も観てないです。ベルリンはやっぱりいいですね。
日本の映画館では観てなくてフライブルクの名画座で始めてみたのが『寅さん』でした。一緒に観たドイツ人がその後暫く、寅さん寅さんと思い出しただけでも可笑しいといった感じで連呼していました。
Commented by 河西文彦 at 2009-04-18 12:48 x
寅さん を笑うドイツ人ですか? 静子さんの御主人は 演歌が好きで
最近ではアラフォー の天海 が好きと言う 可笑しな?ベネズエラ生まれのドイツ人です。寅さんについて 実際こんな人物が身近に居たら
頭にくる これは映画だからと割り切っている 俺 面白いドイツ人も居るものと 感じています。 先日 裸の大将 最新版?を見ました。
本物の山下清 を 見たのは小学生の時 諏訪の美術館でした、製作しているところを 見せてくれたのです。諏訪の花火を題材に貼り絵をしていました。実際の彼を 見たことがあるというのが なんとなく
自慢したい気持ちです。
Commented by うお at 2009-04-18 18:55 x
河西さん
寅さんを笑っていた私の知っているドイツ人は、どちらかというと自分も寅さんのように独立独歩の行動をする人なのです。(爆笑)とても優しいし、大盤振る舞いするし、勿論傍にはサクラさんのようなもっと優しい肝っ玉奥さんがいます。さらに又長年ミシン裁縫の女工をしていた奥さんのお母様も彼らと一緒に同居しているのですが、その家に行くと日本の下町情緒を思い出します。

ドイツにもあの雰囲気はあるのですが、知識階級を持ち上げる社会でもありますから、日本ほどおおらかに目に付かない人情の世界です。

私も山下清の『花火貼り絵』展覧会を観たことがありますよ。そのとき本人に会ったのかどうか・・・。よくテレビのニュースで山下清サイン会などの映像を観ていたので、会ったと思い込んでいるかもしれません。しかし展覧会は緊張してみました。何しろ家族から「うおも山下清のようになれ」と言われながら、ちゃぶ台の下に潜り込んで(なぜか)いたずら書きしてましたから。
Commented by 河西文彦 at 2009-04-25 06:08 x
ははは ちゃぶ台の下の 清ですか?  良かったですねゴッホじゃなくて 立派に ドイツで やってるんじゃ ござんせんか。 家族の人に むしろ お目にかかりたいものです。 こんな娘に育てる!
Commented by うお at 2009-04-27 06:20 x
河西さん
なにやらむみゃむみゃしているブログ応援団!ご心配かけまして家族になりかわり御礼申し上げます。いやでもゴッホが自分の描いた麦畑に自分の墓があるというのもすごいですね。
by kokouozumi | 2009-04-12 07:13 | Comments(10)

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by kokouozumi