人気ブログランキング | 話題のタグを見る

一週間







猫ちゃん病気ですと、メールを書いて写真を添付しPCの時間表示を見たら8時。土曜の朝からこの騒ぎ。

一週間_d0132988_7472671.jpg



お母さんと息子の親子猫を預かることになった。病気のはずの息子猫ちゃんはその日、鳥スープをがぶがぶ食べてなんのことはない。猫の育て親から「猫に布団なんか被せるな。それじゃ男の子育てられないね」といわれてしまう。確かに男の子を育てたことがない。それに昔昔私の知っているお母さんが冬眠する亀に布団を作ってやって干からびさせたことを思い出した。笑い事ではなくなった。追い討ちをかけるように「そんな過保護にすると・・・」ここで相手も一瞬続ける言葉に躊躇して「なよなよした男の子になるぞ。」流石に発作的襲撃事件を起こす男の子になるとは安易にいえない。

先週の水曜日に実科学校(職業訓練を目的にした学校)を現場にその事件が起こった。突然何人もの女性徒と女教師が銃で撃ち殺された。2002年(犯人19歳、自殺)、2006(18歳、自殺)年そして今回(17歳、自殺)と全て母校を襲撃したドイツのこのような事件は3回目。その日から先週は毎日一日中関連のニュースが流れていた。メルケル首相はじめ多くの人々のコメントは、このショッキングな事件に言葉をなくすというものだった。今週になっても毎時間のニュースに必ず事件のことが出てくる。
既に一般聴取からのある電話メッセージが「いたずらに報道しないで欲しい」と願っていたように、私の聞く限り様々な情報には犯人の家族に言及するものが少なかった。今週になって事件後の経過として、幾つもの銃を所持していた父親が警察の取調べを受けたこと。少年の家族が犠牲者に対する公の手紙を書いたことなど端的に伝えられた。勿論犠牲者の家族にもインタヴューを迫るという事態にはならなかった。

そのような日々の中で連日頻繁に役職と名前が紹介され意見を求められた人がいる。警察学校の犯罪心理学と社会学を教える教授だった。このような事件で思いがけずドイツの警察学校の一つが黒い森山岳地帯の中にあることがわかった。その町フィリンゲン・シュベニンゲンに関して私がこれまで知っていたのは、中世の修道院が昔の黒い森で生産されたガラス工芸を展示する美術館になっていることぐらいだった。

その黒い森の中の警察学校は国が決めた学科以外に心理学部門を加えている唯一の専門学校。7人の心理学者が在職し様々な専門領域があるという。警察における心理学は犯人の犯行にいたる心理や動機を分析するだけでない。むしろ犠牲者から事情聴取するさいにショックを与えない気遣いや、事件が起こるかどうか以前に一般市民特に老人、女性、若者達といった弱者の安全を守るために、24時間体制の業務の中であらゆる人々とコミュニケーションをするのが仕事といえ、そのために心理学的知識が必要とされる。7人の心理学者たちが在職することにより、それぞれの専門領域を分担して指導するのみならず、共通する問題を重ね合わせることも可能になる。

私がこの犯罪心理学あるいは社会心理学教授の登場を気にしたのは、以前ラジオのインタヴュー番組として紹介したオェトカー氏の発言を覚えていたからだ。事件後オェトカー氏は人間不信という精神的ダメージの中で、友人や家族からも遠ざかるような日々を送っていたが、唯一心を開けたのは事件の担当捜査官だったと話していた。家族や友人は氏の苦悩を触らないようにあるいは忘れさせるように接しただろうし、時間とともにいつかはそれが実を結ぶ努力だったと思うが、直後の苦痛はそれを克明に知ろうとする人に話すことが必要だった・・・。

その心理学教授は同じインタヴュー番組に事件後急遽登場していた。
今回の学校襲撃事件。教授への質問はやはり「なぜ学校で犯罪が起きるようになったか?」「事件を起こす若者の性格タイプというものがあるか?」というようなところに集中する。「若者は学校が希望あるいは絶望感の場所であったという生々しい最新の記憶を持つ・・・」もちろん犯人のタイプというものはない。このような事件が21世紀に入って起こったといえ、時代や風潮の影響と簡単に決め付けても何かを禁止して、何かのシステムを変えて解決するものでもないだろう。最後に教授は「私達は子供達が犯罪者にならないよう配慮しよう。そして自らが彼らにどんな手本となっているか考慮しよう。」と付け加えた。

もっともすぎるこの促しは、言葉でわかるほど簡単ではないだろう。
「学校の先生はお前達に何にも教えないのか!」と安易に発言していないだろうか。

猫たちの育て親から電話が来た「猫って人間より鬱になりやすいんだって!」
この一週間かわるがわる膝に昇ってくる猫達を出来るだけ追い払わないようにしながらニュースを耳にしていた。しかし息子猫のほうは昼寝中にストンストン高い板場からずり落ちて少々自信喪失ぎみである。




一週間_d0132988_7475417.jpg

Commented by 河西文彦 at 2009-03-18 14:26 x
いじめ 無差別殺人、、これはなくなりません。石川五右衛門だって言ってます。差別もそう!法律で無くなる物ならかんたんです。警察は犯罪を無くすために在るのでは有りません、犯罪を摘発するためです。犯罪はなくならないから「死刑をなくそう」と言うのは単純すぎる、犯罪がすくなるなるのなら、可能な限り 法で牽制すべきです。
Commented by M野 at 2009-03-18 14:59 x
ドイツでもそんな事件があるのですか。
日本でも、凶悪少年犯罪が増えていますが、なにか変です。というのは、1961年に400件あった少年の殺人は、現在100件程度なのです。なぜ増えているように感じるのかと言えば、昔は、どうも貧困に由るものが多かったのに対し、今は理由が良く解らない事件が増えていると言うことらしいのです。それでメディアが騒ぐことで増えているように感じているようです。
最近目立っているのが、劇場型犯罪と言うもの。目立つために犯罪を犯すもの。メディアの対応が今もっともとわれているものです。もう一つが軽微としか思えないことを深く恨んでおこなうもの。最近も学校に爆弾を持ち込もうとしていた少年が見つかりましたが。
ところで大量殺人と言えば、やはりドイツで1913年に起きたワーグナー事件、38年に日本で起きた津山30人殺しがあります。どちらもパラノイアの様ですが、長い時間をかけて行動しているのに、少年で行うのはやはりなにか異常なものを感じます。
 社会の基礎部分の崩壊、人類がかつてない状態に突入したこと、インターネットの発達などいろいろ言われていますが、答えははっきりしていません。
Commented by tomato at 2009-03-18 21:08 x
その事件、日本でも大きく取り上げられてました。
加害者の家族へのマスコミの対応など、ドイツと日本では違いがあるなあ、と感じつつも、
銃規制がある程度進んでいる国でもこんな事件が重ねて起るんだと
(確か北欧でも最近あったうような気がします・・・・)
考え込んでしまいます・・・・

日本では刃物による連続殺傷事件が多く、
銃による犯罪はマル暴がらみがほとんどですが、
根は同じところにあるんでしょう。
つまり、なんで、どうして、そんなことで・・・・

事件捜査への心理学の応用には目覚ましいものがあるようですね。
連続放火事件などは、犯罪者の性格・行動というのは手に取る様に読めるといいます。
研究結果が生かされ、犯罪が少なくなることを祈るばかりです。
そうでないと、無残にも一瞬のうちに命を奪われた方々が浮かばれませんね・・・・
Commented by うお at 2009-03-19 06:09 x
河西さん こんばんは
こんなテーマをブログに書いたら重いかなと思いましたが、この一週間ドイツはずっとこのニュースでしたね。私の聴いているラジオは事件関連でもあるポイントに的を絞って一日中やっている感があるのですが、今日は武器所有についてでした。
警察官は町のおまわりさんとして知っていた頃、テレビのバラエティー番組で、おまわりさんが盗まれた魚を捜査して猫やいたちを追いかけて・・と笑っていたのがうそのようです。もしかしたらその笑いというものの変化に何かあるのでしょうか。些細なものに笑えたのが、今は些細なことにいらだつような。
Commented by うお at 2009-03-19 07:09 x
M野さん お早うございます。
河西さんのところでも書きましたが、今日は武器が話題になっていました。おりしもドイツで武器メッセが予定されていたのですが、中止になりました。狩りが貴族的な遊び、射撃クラブが社交界という伝統が残っているのか、銃を所持している一般家庭が今回処分するとことにしたなどなど。

テレビの深夜番組でいつか暴力的な映画を放映していて、なぜこんなストーリーが作られるのかと思ってしまいました。その意味で今回アカデミー賞に登場した日本映画2作が評価される傾向はホッとさせられます。

生活の基盤となる身近な人間関係がインターネットの利用で密度を失っているのではないかと考えさせられます。何事も表裏があるのですが、世の中の動きのなかに、心理学教授がいうように自分もチェックしながら参加すべきですね。


Commented by うお at 2009-03-19 07:32 x
Tomatoさん、お早うございます。

世界的な傾向とか、精神的な弱さとか一言で言えませんが、何で?という事件が本当に目に付くようになりましたね。ラジオの報道はよく考慮されているなと思いましたが、雑誌売り場には早速表紙に犠牲となった女性との写真が並んだものがあって、人間の関心をそのように考える一部のマスコミにがっかりしました。

心理学者は犯人にはいつも1000の言い訳が残されているが命を落とした犠牲者にはもはや弁護がない、というようなことも話していました。解決のないことです。

しかし人間が知恵を誇りとするのなら、犯罪心理の追求という精神科学の発達もおっしゃるとおり是非成果を上げて欲しいです。

Commented by 寛太 at 2009-03-19 16:23 x
色々考えさせられる事件でしたね
きょうのMSNのコラムに 幼児期に父親と接触する時間が長いと 我慢 協調性 責任感 の度合いが増すというのが出てました

犯人がどんな幼児期を過ごしたのかわからないけど 学校に恨み持つなんてあってはならないことです 一教師としてとてもなんかどうしようもなくつらい事件でした こんな事件最近けっこう報道されているけどやはり身近で起こると報道だけでなく伝わってくるものが多いですね
社会に対して自分のやっていること 自分が生きていること 考えさせられる事件でした
亡くなった方たちの家族のショックも大きいけど 現場にいて生き残った生徒たちの精神的ケアーも大変だと思います 将来何かこのことがきっかけとなって立派な大人になることを願います

そう刃物といえばこないだまで家に真剣をを預かっていたんですが 手入れを定期的にしなくてはならなくて しょっちゅう見てるとなんか変な気になってくるんです 潜在的にDNAの中にある殺戮の手ごたえみたいなものが蘇ってくるような、、、
危ない 危ない やはりこんなものは一般人が持っちゃいかんです
Commented by 寛太 at 2009-03-19 16:27 x
猫の息子 (はい引越しのため預けたのは私です) の病状?は毎日経過を伺っておりますが 猫の心理というのも微妙なようで 甘やかして育てたわけではないのですが、、、
幼児期の接触時間は24時間とは言わないまでも それに近い付き添い看護士だったので 生後6ヶ月の子猫には 急な環境の変化はちょっときつかったかもと反省してます
たくましく育ってほしいと願うばかり
まあもうちょっとすれば慣れるでしょう
鉄砲ぶっ放すような子にはなってほしくありません ありえないか

Commented by M野 at 2009-03-19 23:06 x
子猫の近況は?もしかすると魚さんになついていませんか。
Commented by うお at 2009-03-20 05:27 x
寛太さん、こんばんは
場所がシュトットガルトでしかも最後に逃げた場所がへーリンゲン村に近く、びっくりしましたね。

心理学教授(Gallwitzという名前ですが)さすがに今回のことを個人的な非難や攻撃に向けないよう注意深い物言いが感じられましたが、発言の中に「世界の平和は子ども部屋から始まる」というのもありました。母性本能という保護者以外の存在の意味は大きいかもしれませんね。

事件のおこった学校は現場に居た生徒達の精神的な影響を考え、再び授業が開始できるかどうかわからないそうです。原因の想定・・・公表される必要はありませんが、究明されて今後に役立って欲しいです。

真剣!こんなときは危なく響きます。昨日の武器話題でもテスト射撃手(銃の性能を試すのだそうです)が「銃は歴史、形の美しさ、性能を知っているものには美術品のようなものなのに、それを持つ人の個性のままに機能してしまう」と話していました。
Commented by うお at 2009-03-20 05:49 x
寛太さん、M野さんも心配していただきありがとう。
どちらかというと私が猫達にごろごろしているのかも知れません。

母猫ミルクの何か経験に基づいている落ち着きと先読みの行動には感心させられます。息子のパンクは初め数日のはしゃぎ様から、急にやっと!違う場所に居ることを悟ってしょげ返っていましたが、家の中に自分の居場所を見つけて(洗濯物かごの中、落ちる心配がない)安心したようです。ご飯には3回呼ばないと出てこない・・まるでどこかの男の子みたいです。

今週はお天気がよいのでガラス戸を開け放しておくと「パンク探検隊いってきま~す」みたいに例の顔を突き出したスタイルで出発しますが、ものの10分で「今日はここまで」と帰ってきます。

寛太親の教育が良かったので、2匹とも私を怖がったりしませんが、どちらかがいじけないようにしてますよ~。
Commented by 河西文彦 at 2009-03-20 07:07 x
殺人事件の結果裁判ですが、人一人殺した(だけ)では現在の日本では死刑にならないとのこと。被害者の家族の心情はどうなんですかね。
反対に 殺されもせず病気でも無いのに『自殺』という人、もったいない せっかく生まれて来た世界なのになぜ死に急ぐのですか(どっちみち みんな死ぬんですよね。裁判上では、残酷な殺し方と残酷で無い?殺し方があるんだそうです。空襲で殺しても 何も言われないけど
ピストル ナイフで殺すと 殺人ですって??JPNSHINSHU:EXBLOG:JP7
Commented by うお at 2009-03-21 07:14 x
河西さん こんばんは

もし冤罪だったら、又犯人が自らの死にという裁きを受けたいと望むかもしれない・・・とそれぞれ出来事によって違ってくるのではないでしょうか。

河西さんの刑の重さという観点とはちょっと違いますが・・・
家族が理由なく命を奪われた場合、時代劇だったら、即座に刀を持って敵討ちに向ってしまうわけですが、犠牲者の家族の心境は現代もそれほどの衝撃だと思います。法による裁きが悲しみを緩和するでしょうか。
それほどの悲しみから脱却する経緯はむしろ自分との戦いになると思います。

それぐらいの気持ちで若者が人生に立ち向かえる希望を持てるよう、多く生きた(我々を含めてね)者が後姿なり見せるしかないですね。

それにしても、毎日の猫ご飯作りが結構つかれる。たった2匹なのに自分のはどうでもよくなって・・・、河西さんの店が近かったら、毎晩よれよれになって食べに行きそうですよ。

よい季節になりましたね。

by kokouozumi | 2009-03-18 07:51 | Comments(13)

eine Notiz


by kokouozumi