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Kinder Uni

Kinder Uni、子ども大学 第二学期という本を眺めています。
各章の見開きに1ページ全面のイラストがあります。



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どうして植物は育つの

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なぜ聴くことが出来るの

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大人が子どもより多くのことを許可されるのはなぜ

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私ってなに

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星はなぜ空から落ちないの

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なぜクローン人間を作ってはいけないの


子どもの本、特に絵本は挿絵というものが内容と同じぐらいの比重で、それぞれの好みを反映し、どの本にするか選択するのではないでしょうか。
この本はプレゼントされたもので、開くまでその内容も挿絵も計り知れぬものでしたがぱらぱら眺めただけで気に入ってしまいました。

子ども大学というのは
実際に大学の講義室で8歳から14歳までの子どもを対象に大学教授がレクチャーをしようという試みでした。考え出したのはチュービンゲン市の市報担当ジャーナリストでチュービンゲン大学の教授に持ちかけたところ、即座に意気投合、「まずはやってみよう、それで子ども達が気に入るようだったら毎年続けよう」ということで2002年の初夏、週一回夕方5時から(大学講義につき物の15分の遅れはここでも適応されて実際には5時15分から)45分のレクチャーが8話準備されました。このドイツで初めての子ども大学、第一講義を担当したのは、チュービンゲン大学にドイツ最年少の教授としてやってきた鉱物学者の「どうして火山は火を吹くか」だったそうです。

ハイデルベルクに並び古い大学町、又精神的病になったヘルダーリンが晩年30年間住んでいたチュービンゲンの、この第一学期には約5000人の子ども達に加えて多くの報道関係者の関心もあつめました。講義担当教授達が授業料を辞退し、ある個人のスポンサーが付いたので、参加費は無料。参加した子供達には学生証が発行されて学食での食事一回も無料、ただし付き添いの大人にとっては立ち席にて聴講がゆるされるという厳しい条件。

2003年チュービンゲン子ども大学2学期。1995年にノーベル賞を受賞した進化生物学者のChristian Nüsslein-Volhard(クリスティアン・ニェスライン-ヴォルハルド)女史も登場しました。この講義「なぜクローン人間を作ってはいけないの?」には約1000人の子供達と、その後ろではドイツ中のメディア関係者(フランクフルター・・やシュピーゲルなど)が熱心に聴講していたそうです。

このようなチュービンゲン大学の大好評から、2004年には1月のベルリン・フンボルト大学初めドイツ中の大学や専門学校70校が同様のプロジェクトを持つに至り、スイスのバーゼル、チューリッヒ。オーストリアのウィーンにまで広がりました。講義だけではなく実技実習、制作ワークショップのようなスタイルもこれから増えていきそうです。

そして2005年、チュービンゲン子ども大学プロジェクトはヨーロッパ連合における学術プロジェクトへの栄誉あるデカルト賞を与えられました。出版物として、第一学期、第二学期(写真のもの)、第三学期の3冊が15ヶ国語に翻訳され、ドイツ語圏内だけで40万部出ているそうです。

子ども大学がどんなものかざっと調べてみたのですが、その輝かしい歴史を知らなくても、十分楽しめる本だと思います。


裏表紙に 「子どもの許可を得れば、大人も読んでいい本」 とありますが、私はこっそり読んでいます。
Commented by tomato at 2009-01-31 21:04 x
日本語訳はまだ出ていないのですね。
問いに対し、子どもを前に先生方がどのような講義をしたのか
たいへん興味があります。日本語訳でないかな・・・・

「なぜクローン人間を作ってはいけないの」
宗教的な答え以外で是非聞いてみたいものです・・・・
Commented by うお at 2009-02-01 04:32 x
Tomatoさん
第一学期はすでに日本でも出ているようです。アマゾンの検索でカバーしか見ていませんが、私としては残念なことに挿絵が違っているようなのです。学者さんの講義を受けるという子どもにとっては、ちょっと背伸びをしたような、一種の冒険のような・・あるいはハリーポッターに求めるようなミステリアスな世界かもしれません。そのような子ども大学の臨場感をドイツ語版の挿絵はよく伝えているとおもうのです。

Christian Nüsslein-Volhard 女史の講義が載っている第二学期もいずれ日本語出版されると思いますので、楽しみに!!

しかしこのような哲学、経済学から考古、歴史、自然科学の専門家の話・・・わかりやすくなっているとはいえ、訳者は大変でしょうね。
Commented by M野 at 2009-02-01 21:42 x
うわーこのイラスト、ドイツだわ。グロッスか?滅茶滅茶轢かれます。このなぜ聞くことができるの?のイラストなんか超大好きです。クローンの批評性なんか、とっても面白いです。ドイツ表現主義がまだある!
 ドイツはやはり面白いですね。なにかを知として伝える何かが存在していますね。
 日本ではクローン牛について結論が出ました。つまり問題が無いということです。食べるだけなら。ただクローンの持つ意味に踏み込まないところが残念でした。
 でも生命ってそれがオリジナルなのに。
 伝える、それを真剣にやっている態度がすばらしいです。
Commented by tarutaru953 at 2009-02-02 00:26
>大人が子どもより多くのことを許可されるのはなぜ

この質問、ぐさりときました。
でも、それぞれ鋭い質問ですね。
「なぜクローン人間を作ってはいけないのか」
これも胸にぐさりと来ましたが
なんとか答えられそうなのは最初の1,2問だけでしょうか。

子供と大人の壁。
大人には詭弁という芸当があって世の中それで子供も弱者も操られている感があります。
ところがこの本にあるように実は実は、そうではなくてちゃんとお見通しかなと思ってしまうほどに鋭い質問です。
クローン人間やクローン牛もそうですが人間には悪魔の部分が必ず潜んでいてどこかで悪戯をやらかす。「食べるだけなら問題ない」ということですがそんな根拠どこにあるのか、結論先にありきではないでしょうか。
詭弁だと思います。
Commented by うお at 2009-02-02 06:34 x
M野さん
ドイツですよね。この子ども大学がドイツのチュービンゲンで始まり、出版された本もそこでの講義を網羅したものなので、是非この絵は翻訳版にも残して欲しかったと思います。いつどのボタンを押してしまって、設定がどうなっているかわからないという、相変わらず酷い写真で申し訳ないです・・・。
「どうして大人は子どもより」の絵は即座にオットー・ディックスを思い出させます。イラストレーターは1973年生まれのKlaus Ensikat(クラウス・エンジカト)という方で長年本の挿絵画家をしていた人。この「子ども大学」の挿絵はM野さんが感じるようにメタファー(比喩的)なファンタジーに溢れていると思います。デューラーもはいていそうです。

今、日本で(多分世界中で)話題になっているクローン。Christian Nüsslein-Volhard 女史の講義は2003年と6年前のことで、科学界にとって昔のことになってしまうのかも知れませんが、M野さんが既に言及している、生命のオリジンであるクローンの意味に迫るものです。

ドイツ、のりが悪いとか暗いとか言われてしまいますが、知を伝えるシステムが非常に素早く機能する国だと思います。
Commented by うお at 2009-02-02 07:11 x
Tarutaruさん
子ども大学の切っ掛けは市広報誌が、子どもの質問に答える欄を作ろうとして、質問を集めたところ、とても生半可な答えで済まないのでは・・・ということから。

子ども時代を思い返してみると、確かに可愛そうなこと、悲しいことなどへの感情は理由をつけて起こるものではなくストレートだったような。制作にしても、集中力もさることながら、あの絶対的な魅力は何でしょうね。そんな子ども達(弱者も)を言葉では操れると大人は思っているのかも知れません。質問にどぎまぎして「そんな馬鹿なこと言うものではありません!」といわないようにしなくちゃ、子どもの前だって聞かぬは一生の恥じ・・・、
とこの本を眺めながら思いました。

クローン牛私も食べたくないです。それが理由なく人間の感覚として持つ嫌悪感ならなぜなのか。同じように悪の根源は何なのか。子どもと同じように素朴に問いかけながら、暮らしていきたいものです。
Commented by marumarusu2000 at 2009-02-02 15:09
子どもたちはこんな鋭い質問をぶつけてくるのですね・・・
私は答えられないどころか、疑問すら抱かずにいました。
さすがにクローンには反対ですが、なぜかと問われると・・・
おそらく、日本の子どもたちだって同じような質問をするでしょうが、
誰が答えてくださるんでしょうね。
間違っても麻生首相ではないですね(;´д`)トホホ


Commented by うお at 2009-02-03 07:52 x
タルナさん そうなんです。私の気持ちを代弁してくださいました。他にも「ギリシャの彫刻はどうしてみんな裸なの」とか「数学者は計算できないの?」それから「コンピューターはなんでまぬけなの」はお父さんが突然フリーズしちゃったコンピューターを叩いて「このまぬけ!」って呻いているのを聞いちゃったのかしら。
答えて講義するほうも負けてはいません。「なぜ聞くことが出来るの?」では、「子ども達の耳はよく妙な働き方をしますね。歯を磨きなさい!は全く耳に届かないようだし、グミベアの言葉は問題なく理解できるようです・・・・」ってね。もう完全に子供たちは講義にひきつけられますよね。

クローン牛ね。飽食の時代から食糧難へ移行しそうな今、食卓で「何を食べたいか」というようなことを家族と話すのも、人の答えを待つよりずっと楽しく考えられそうだと思っていますが、いかがでしょう。
Commented by marumarusu2000 at 2009-02-04 10:09
へぇ~(ノ゚ρ゚)ノ
講師も負けてないんだ~。
子どもたちもひきつけられちゃうなんて。

そうですね。
食べることが大好きな我が家ではよく話しています(*'ー'*)

今日もコメントありがとうございました。
ただ、承認ボタンを押すつもりが削除ボタンを押してしまい・・・
ごめんなさいr(≧ω≦*)
よろしかったらもう一度、書き込みお願いします!
Commented by うお at 2009-02-05 05:08 x
タルナどの、報告ご苦労であった。うふふ、私と似たようなことしますね。

> 食べることが大好きな我が家ではよく話しています(*'ー'*)
そうだと思いましたよ。家族中で人気の料理はなんでしょう?私もこちらに来て暫くは未練がましく、日本料理の本を見ては、手にはいらない材料にため息をついていましたが、最近はないものは無いと諦めています。

タルナさんの家族が、あれを食べたいこれを食べたいと話しているとき、ルナちゃんは横でこっそり聞いているのかしら?「何!明日はさば!じゃなくて蕎麦・・・骨なしか・・・・」なんて思っているかも。

さて、おいしそうな蕎麦をまたのぞきにいこっと。
Commented by ミノリン at 2009-02-20 21:41 x
この本のドイツ語の難易度は、どれくらいなの?
Commented by うお at 2009-02-21 06:25 x
ミノリンさん
この一言の質問、ぐぐと詰まってしまいます。
文章のわかりやすさ(複文をあまり使わず、短い単純な構成の文章という意味)では難易度小学生程度といえます。

しかし専門用語は次々出てきます。8歳から14歳の子どもの吸収力が対応できるなら、かなりの専門分野の本質を幼くして理解してしまうことになるかもしれません。

さらに翻訳することを前提にすると、専門用語をそれぞれの分野で正確に照らし合わせるとしたら難易度は相当上がります。
by kokouozumi | 2009-01-31 09:28 | Comments(12)

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