Trippen
2007年 10月 08日
この際、手工芸とか職人のテーマを続けてしまいます。
職人の活躍は、開花しそして衰退していくという歴史が、これまでの時代ごとにあったと思います。産業革命によって、蒸気機関が取り入れられたり、電化による電気モーターの出現は、決して職人を退ける事情ではなく、重労働が少し緩和される、むしろ助けになった変化だったでしょう。オイラーの町でも蒸気機関を利用した土練機が登場して(1864年になってですが)、ボイラー係という新たな名誉職が登場したり、電気モーター轆轤になって(1920年代)、親方と轆轤師のどちらが電気代を持つかで、一悶着起きたり、何か職人の世界の新風として感じられるエピソードでした。しかし強力な影響は、小刻みに訪れる生活革命と呼べるものだったと思います、ペットボトルで飲料水を購入できる現在、かつてオイラー達が炻器を塩釉で焼き締めた水瓶を作っていた時代に逆戻りすることは不可能です。(すみません!オイラーの話がちらつきますが)それからもっと怖いのは、Tarutaruさんの指摘する経済侵略というウェーブかも知れません。
中国からやって来るバイオリンの驚異を知っっているピルミンが、ある日やってきていうことに、「KOKO!Aldi(チェーンスーパーの名前)で四角いお皿を売ってるぞ!敵だな」スーパーの四角いお皿なんて敵じゃない!と思っているうちに、あっちこっちで白いだけじゃない、織部のだって、天目のだって四角いお皿が登場し始めました。いえね、ヨーロッパの丸いお皿に対して、四角は和食器の象徴みたいなものです。四角ければ、手作りであろうと何であろうと鮨がのせられると考えるのが、大衆的な動きというものです。「う~ん、ならば、こっちのほうが美味しく見えるでしょう?美味しいでしょう?と、自作器を使った食事会をするしかないか。」「そんなのご馳走様で終わりですよ。(N氏の忠告)」和食器をヨーロッパで製造する身のまわりにそんな状況があるのですが。
↑
こんな記事を見つけました
DB(ドイツ鉄道)マガジンで見つけた、一見ポップな靴屋さんの記事です。
* 今から13年前、たった二人の男(当時32歳)と女(28歳)が独自のデザインで靴の製造工房を立ち上げた。名前はトリッペン(Trippen)。トリッペンとはドイツ中世に流行った、靴先が上に反り返ってとがっている木靴のこと。靴職人の女性は靴の歴史に出てくる、その形に見せられてしまった。中世の時代にどうしてその靴が流行したかなどの、もっと詳しい面白い話があるに違いない。なぜなら靴職人の女性は、木靴の形を現代に再生させるにあたって、素材のボンド張り合わせということを、一切諦めたのだ。(これを読まれている皆様、一度自分の靴をご確認ください。私ので、底部と上が縫い合わせと思われるのは一足だけでした。)それから10年、なんと600種のデザインを作りつづけてきた。彼らには休日というものがなかった。徐々にその靴が知名度をえてきたのは、目立った、意表をつくデザインからばかりではなく、何よりも履き心地のよさ、それに耐久性のよさだったそうな。売れるようになって、大量の注文をこなす工房として、彼らは又神話を持ち出した。製造をイタリアの伝統的な靴職人の村に依頼することを考えた。その村は親子三代、靴を作りつづけていたような土地だが、最近の安い靴に押されて、殆ど枯渇しそうになっていた。今では子も父も時には祖父も、その土地では200の工房でトリッペンを作っている。そりゃー、うまいに違いない。本当はボンドで張ったりしない靴を作りたかった人たちだもの。2006年、ベルリンのトリッペン二人組みは本屋さんメッセに登場した。600ページの本を作ったのである。その中には600種のデザインと600年以上の靴の歴史と伝統と靴職人の製造工程が愛情込めて網羅されている。現在の年間製造数約12万足(ペアで)二人ははじめて、休暇を取ろうと思ったそうだ。
職人の活躍は、開花しそして衰退していくという歴史が、これまでの時代ごとにあったと思います。産業革命によって、蒸気機関が取り入れられたり、電化による電気モーターの出現は、決して職人を退ける事情ではなく、重労働が少し緩和される、むしろ助けになった変化だったでしょう。オイラーの町でも蒸気機関を利用した土練機が登場して(1864年になってですが)、ボイラー係という新たな名誉職が登場したり、電気モーター轆轤になって(1920年代)、親方と轆轤師のどちらが電気代を持つかで、一悶着起きたり、何か職人の世界の新風として感じられるエピソードでした。しかし強力な影響は、小刻みに訪れる生活革命と呼べるものだったと思います、ペットボトルで飲料水を購入できる現在、かつてオイラー達が炻器を塩釉で焼き締めた水瓶を作っていた時代に逆戻りすることは不可能です。(すみません!オイラーの話がちらつきますが)それからもっと怖いのは、Tarutaruさんの指摘する経済侵略というウェーブかも知れません。
中国からやって来るバイオリンの驚異を知っっているピルミンが、ある日やってきていうことに、「KOKO!Aldi(チェーンスーパーの名前)で四角いお皿を売ってるぞ!敵だな」スーパーの四角いお皿なんて敵じゃない!と思っているうちに、あっちこっちで白いだけじゃない、織部のだって、天目のだって四角いお皿が登場し始めました。いえね、ヨーロッパの丸いお皿に対して、四角は和食器の象徴みたいなものです。四角ければ、手作りであろうと何であろうと鮨がのせられると考えるのが、大衆的な動きというものです。「う~ん、ならば、こっちのほうが美味しく見えるでしょう?美味しいでしょう?と、自作器を使った食事会をするしかないか。」「そんなのご馳走様で終わりですよ。(N氏の忠告)」和食器をヨーロッパで製造する身のまわりにそんな状況があるのですが。
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こんな記事を見つけました
DB(ドイツ鉄道)マガジンで見つけた、一見ポップな靴屋さんの記事です。
* 今から13年前、たった二人の男(当時32歳)と女(28歳)が独自のデザインで靴の製造工房を立ち上げた。名前はトリッペン(Trippen)。トリッペンとはドイツ中世に流行った、靴先が上に反り返ってとがっている木靴のこと。靴職人の女性は靴の歴史に出てくる、その形に見せられてしまった。中世の時代にどうしてその靴が流行したかなどの、もっと詳しい面白い話があるに違いない。なぜなら靴職人の女性は、木靴の形を現代に再生させるにあたって、素材のボンド張り合わせということを、一切諦めたのだ。(これを読まれている皆様、一度自分の靴をご確認ください。私ので、底部と上が縫い合わせと思われるのは一足だけでした。)それから10年、なんと600種のデザインを作りつづけてきた。彼らには休日というものがなかった。徐々にその靴が知名度をえてきたのは、目立った、意表をつくデザインからばかりではなく、何よりも履き心地のよさ、それに耐久性のよさだったそうな。売れるようになって、大量の注文をこなす工房として、彼らは又神話を持ち出した。製造をイタリアの伝統的な靴職人の村に依頼することを考えた。その村は親子三代、靴を作りつづけていたような土地だが、最近の安い靴に押されて、殆ど枯渇しそうになっていた。今では子も父も時には祖父も、その土地では200の工房でトリッペンを作っている。そりゃー、うまいに違いない。本当はボンドで張ったりしない靴を作りたかった人たちだもの。2006年、ベルリンのトリッペン二人組みは本屋さんメッセに登場した。600ページの本を作ったのである。その中には600種のデザインと600年以上の靴の歴史と伝統と靴職人の製造工程が愛情込めて網羅されている。現在の年間製造数約12万足(ペアで)二人ははじめて、休暇を取ろうと思ったそうだ。
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tarutaru953 at 2007-10-08 11:28
ドイツ発ならではのおもしろいお話が続きますね。技術革新の波、経済の波など職人さんサーファーみたいなもんで果敢に向かって行きますね。僕の知人はオーダーで八王子の靴職人さんに頼んでいるようです。やっぱり違う。デパートのブランドにも憧れるのとまた違う憧れですね。なんていうのかな。自己満足度の問題でしょうか。本当の意味の贅沢をしたいですね。
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いまだこうへい
at 2007-10-08 23:00
x
衝撃です。kokouozumiさんがブログを始めるなんて。
しかも読み応えがあってカッコいい。
これは本にするしかないです。
先日は突然にお邪魔して、ごちそうになりました。
3年間の空白が一瞬にして埋まってしまうようなひと時でした。
お別れするときも、「ではまた今度。」ってな感じで
またすぐに会えるような気持ちになっていましたし。
そこで、このブログですよ。
kokouozumiさんが毎日(?)日常に登場するわけで
コメントにリアルタイムに返信できることなども合わせると
これは限りなく会っているのに近いような気がします。
あとはkokouozumi食堂の料理さえあれば・・・
ではでは、これからも楽しいお話楽しみにしています。
しかも読み応えがあってカッコいい。
これは本にするしかないです。
先日は突然にお邪魔して、ごちそうになりました。
3年間の空白が一瞬にして埋まってしまうようなひと時でした。
お別れするときも、「ではまた今度。」ってな感じで
またすぐに会えるような気持ちになっていましたし。
そこで、このブログですよ。
kokouozumiさんが毎日(?)日常に登場するわけで
コメントにリアルタイムに返信できることなども合わせると
これは限りなく会っているのに近いような気がします。
あとはkokouozumi食堂の料理さえあれば・・・
ではでは、これからも楽しいお話楽しみにしています。
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kokouozumi at 2007-10-09 07:23
Tarutaru さん
Trippenの話面白かった?良かった。10年ほど経て、こちらで陶芸を再開し始めは、肩の力を抜いて作れるようになっている自分が、軽くって嬉しかったのです。しかし共同作業で器販売という商売をやっている以上、何をアピールすべきか考えてしまいますよね。この記事を読んだとき、商売を広げていくにも、職人の歴史を大事にしながらやっているのに、納得しました。こちらまだ零細企業で比較検討の場合じゃないのですが。
Trippenの話面白かった?良かった。10年ほど経て、こちらで陶芸を再開し始めは、肩の力を抜いて作れるようになっている自分が、軽くって嬉しかったのです。しかし共同作業で器販売という商売をやっている以上、何をアピールすべきか考えてしまいますよね。この記事を読んだとき、商売を広げていくにも、職人の歴史を大事にしながらやっているのに、納得しました。こちらまだ零細企業で比較検討の場合じゃないのですが。
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kokouozumi at 2007-10-09 07:33
いまだこうへい くん
よ! びっくりさせてごめん。
自分でもとっさの出来事に、食堂の掃除も手につかない今日この頃です。ページの機能も全部把握してなくて、どうなることやら。コメントが楽しみで展開しているような…。目に余ることがありましたら、アドバイスしてください。宜しく。Mっちにも宜しくね。
よ! びっくりさせてごめん。
自分でもとっさの出来事に、食堂の掃除も手につかない今日この頃です。ページの機能も全部把握してなくて、どうなることやら。コメントが楽しみで展開しているような…。目に余ることがありましたら、アドバイスしてください。宜しく。Mっちにも宜しくね。
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M野
at 2007-10-09 21:30
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最近身直な所での和食器の流通に変化がある様です。5寸から六寸の皿が少なくなってきました。光源社みたいな所に行くと、三寸まではあるが、次は7寸とサイズが飛んでしまっています。六寸は焼き魚をのせる一般的なサイズなのですが、食生活の変化が影響していると思われます。
逆に若い人が初める飲食店では、やはりこのサイズが必要なようで、考えた結果100均で購入したりしています。結果微妙に違うのを感じながら、まあしょうがないのかなとしている状態です。
食器はある部分生活習慣の問題があって、どんなに立派にデザインされても、作り手によってどこかチャイナだったりベトナムだったり別物になります。それが職人の面白い所です。
逆に職人が現地で使っているものを、おもしろがってこちらで使うのが本当はスジなのに。
でも素人が和の料理を簡単に効果的に盛りつけれるのは、24センチのプレートなのは事実です。
逆に若い人が初める飲食店では、やはりこのサイズが必要なようで、考えた結果100均で購入したりしています。結果微妙に違うのを感じながら、まあしょうがないのかなとしている状態です。
食器はある部分生活習慣の問題があって、どんなに立派にデザインされても、作り手によってどこかチャイナだったりベトナムだったり別物になります。それが職人の面白い所です。
逆に職人が現地で使っているものを、おもしろがってこちらで使うのが本当はスジなのに。
でも素人が和の料理を簡単に効果的に盛りつけれるのは、24センチのプレートなのは事実です。
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kokouozumi at 2007-10-10 03:45
M野さん 弊社も始めは業務用のカタログでサイズを調べて、6寸、7寸から始めたのね。でもなんだか面白くない。それで思い切って、9寸以上にしてみたら、レストランからも主婦からも、こんな大きさが欲しかったって、言われました。
M野さんのいう、チャイナ・ベトナムの話とはちょっと違いますが、有田物のトンボ柄とか、たち吉のトンボ柄に出会ってびっくりしたことがあります。逆輸入のその又写しの現代ですね。最近、それぞれの作風に、どんな音が流れるかなんて、話が出て、それによっても、チャイナかベトナムかはたまたロシアかって・・・ことになりますね。藤沢H氏はマイスキー(チェロ)、特にシューベルトによく合うと。聞いていると、窓の外で雪がばさっと落ちても、揺るぎなく轆轤を引いている彼の姿が…
このブログは本文よりもコメントが俄然充実しているような。なにしろKOKOUOZUMIがブログなんか、始めたものだから、連日周りの怱々たる人物が、入れ替わり、立ち代り、心配そうに立ち寄ってくださいます…
M野さんのいう、チャイナ・ベトナムの話とはちょっと違いますが、有田物のトンボ柄とか、たち吉のトンボ柄に出会ってびっくりしたことがあります。逆輸入のその又写しの現代ですね。最近、それぞれの作風に、どんな音が流れるかなんて、話が出て、それによっても、チャイナかベトナムかはたまたロシアかって・・・ことになりますね。藤沢H氏はマイスキー(チェロ)、特にシューベルトによく合うと。聞いていると、窓の外で雪がばさっと落ちても、揺るぎなく轆轤を引いている彼の姿が…
このブログは本文よりもコメントが俄然充実しているような。なにしろKOKOUOZUMIがブログなんか、始めたものだから、連日周りの怱々たる人物が、入れ替わり、立ち代り、心配そうに立ち寄ってくださいます…
by kokouozumi
| 2007-10-08 07:47
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