器を作り続ける日々
2013年 09月 10日
Stuttgartに移って2年が過ぎるのだが、毎日毎日いろいろな器を作り続けてきた。陶芸家の一面として文句ない暮らしだが、一体どんなものを生み出してきたのか振り返る暇も無い多様な注文に埋没した日々とも言える。
最近ある注文主のレストランで、われら工房出身の器たちが並んでいるのを見つけた!
注文主のレストランオーナーはベトナムからのボートピープル2世。11年間チャイニーズレストランで働きながら、自分の店の資金を貯めた。彼の店はベトナム料理ということだが、シェフは日本で鮨を学んだベトナム人と、最近の流行のフランス料理に日本食材を取り入れた路線を実践する独逸人の二本立て。
オーナーは緑が嫌い・・・ということで、赤と黒が主旋律になった。間違えればキッチになるそのテーマを大小の器にバランスして配置する仕事はすごく苦労したが、すごく面白かった。
ここに集まる器は、黒・赤メインを固める脇役たち。黒・赤の周りに結局、白と赤と黒が配置されるのだが、白の釉薬に工夫した。
器の世界は、注文主と作り手のやり取りで、ある景色ができてくる。今この脇役たちにほっとしている作り手がいる。
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M野
at 2013-09-11 01:16
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魯山人が若い頃、料亭の主人と新作料理のための器の試作品を見た事があるようです。何種類かあっても全部作り直しだったそうで、その後自分で器を作り出すきっかけのようです。
そう言った具合に、昔は料亭とかでも器を注文で作らせていたみたいですが、今では製陶商や道具屋がカタログを作って売る時代です。器を作家ものとかばかりにしている店も、結局チョイスしているだけですから、作らせるのとは話しが違う訳です。
今の若い人たちが店を出す場合も、よくて昭和期の骨董か中古でしょうか。下手すれば東京インテリアとかニトリ・イケアでしょうか。100均なんてザラです。ただ100均使う店は、味はやっぱり良くないです。
日本の店舗事情もあります。収納スペースが少なすぎて完璧に均一なものでないと扱いにくくて難しいと言う事情もあります。食器洗浄機もそうですね。
そう言った具合に、昔は料亭とかでも器を注文で作らせていたみたいですが、今では製陶商や道具屋がカタログを作って売る時代です。器を作家ものとかばかりにしている店も、結局チョイスしているだけですから、作らせるのとは話しが違う訳です。
今の若い人たちが店を出す場合も、よくて昭和期の骨董か中古でしょうか。下手すれば東京インテリアとかニトリ・イケアでしょうか。100均なんてザラです。ただ100均使う店は、味はやっぱり良くないです。
日本の店舗事情もあります。収納スペースが少なすぎて完璧に均一なものでないと扱いにくくて難しいと言う事情もあります。食器洗浄機もそうですね。
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M野
at 2013-09-11 01:46
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もの凄い贅沢な話しのように感じるのです。ドイツでは今でもこうして器が発注されて店で使われている。なんて意識が高いんだ、と一瞬思ったのですが。
もしかすると、日本のように世界各国の器が簡単に手に入るって、実は特殊なの?中古であろうが新品であろうが、大体同じサイズのプレートとボウル(そこに深いものとか浅いものとか、手がついていたりいなかったり)で、たまに少し違うのがあったりしてそれらが主流なのかなと、考えました。ちょっと違ったものを使おうとすると、全くない状態なのでしょうか。
中華料理のものはあると思うのですが。
もしかすると、日本のように世界各国の器が簡単に手に入るって、実は特殊なの?中古であろうが新品であろうが、大体同じサイズのプレートとボウル(そこに深いものとか浅いものとか、手がついていたりいなかったり)で、たまに少し違うのがあったりしてそれらが主流なのかなと、考えました。ちょっと違ったものを使おうとすると、全くない状態なのでしょうか。
中華料理のものはあると思うのですが。
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うお
at 2013-09-11 07:28
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M野さん
確かに贅沢な状況で仕事をさせてもらっています。
器屋になりきっているかどうかまだ怪しいながらも、仕事の中で次々そぎ落としていくことを考えさせられました。初めのころは個性を出すために、高台を8角形にわざわざ切り落としたり、今その器はパンクが使っています。(爆笑)そのような自分の見せ場さえもそぎ落とすこと・・・それが器屋かもしれません。最後のきめ、見せ場は料理人が作るべきなのです。私一人では覚えることの出来なかった感覚です。建築という多方面の事柄を統合・終結していく仕事をしっている寛太親分が、店のどこになにが集結していくかも嗅ぎ取っていきます。
器の使われ方がドイツと日本でどのように扱われているか、きっぱりと説明できないのです。それだけ器はまだ人間生活に密着して、多種多様な場面に登場します。
結局、作り手と注文主の出会いになるのでしょう。この写真の器は、このオーナーとの出会いで生まれたものですが、背後にはこれまでの出会いで培われた作り手のこもごもが確かにあります。
確かに贅沢な状況で仕事をさせてもらっています。
器屋になりきっているかどうかまだ怪しいながらも、仕事の中で次々そぎ落としていくことを考えさせられました。初めのころは個性を出すために、高台を8角形にわざわざ切り落としたり、今その器はパンクが使っています。(爆笑)そのような自分の見せ場さえもそぎ落とすこと・・・それが器屋かもしれません。最後のきめ、見せ場は料理人が作るべきなのです。私一人では覚えることの出来なかった感覚です。建築という多方面の事柄を統合・終結していく仕事をしっている寛太親分が、店のどこになにが集結していくかも嗅ぎ取っていきます。
器の使われ方がドイツと日本でどのように扱われているか、きっぱりと説明できないのです。それだけ器はまだ人間生活に密着して、多種多様な場面に登場します。
結局、作り手と注文主の出会いになるのでしょう。この写真の器は、このオーナーとの出会いで生まれたものですが、背後にはこれまでの出会いで培われた作り手のこもごもが確かにあります。
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うお
at 2013-09-11 07:29
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M野さん
魯山人はその注文主と作り手の一人二役をこなしてしまったのですね。
制作の場面ではディレクター的存在で自ら手を下す部分が少なかったとはいえ、よくあれほどの四方八方のテクニックを一工房で実践したものです。私はそのことが鳥肌だつぐらい脅威です。
魯山人はその注文主と作り手の一人二役をこなしてしまったのですね。
制作の場面ではディレクター的存在で自ら手を下す部分が少なかったとはいえ、よくあれほどの四方八方のテクニックを一工房で実践したものです。私はそのことが鳥肌だつぐらい脅威です。
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M野
at 2013-09-11 16:08
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寛太親方か…。親分で親方で、剣道7段で建築家。隙が無さそうですね。
日本料理だと、料理の作り手と器の作り手のキャッチボールがあると思います。魯山人なんかは自分でそれをやっているので、豪速球でもかまわないのでしょうがフツーはそうもなかなか行かないでしょう。作家ものなんかそう言った意味で使いにくいものです。
かといって、ボールが投げられなければキャチボールにはならない訳で、その辺も難しいですね。100均で料理を出す店がおいしくないのは、そう言った所があるのでしょうか。
削って削った先に残るケレン味が大事なのかなと思います。
そう言えば日本じゃ金属器ってほとんど使わないですね。スプーンやフォーク程度でしょうか。なんでだろう?
日本料理だと、料理の作り手と器の作り手のキャッチボールがあると思います。魯山人なんかは自分でそれをやっているので、豪速球でもかまわないのでしょうがフツーはそうもなかなか行かないでしょう。作家ものなんかそう言った意味で使いにくいものです。
かといって、ボールが投げられなければキャチボールにはならない訳で、その辺も難しいですね。100均で料理を出す店がおいしくないのは、そう言った所があるのでしょうか。
削って削った先に残るケレン味が大事なのかなと思います。
そう言えば日本じゃ金属器ってほとんど使わないですね。スプーンやフォーク程度でしょうか。なんでだろう?
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寛太
at 2013-09-12 07:18
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??ちょっとへんだと思ったので早速広辞苑を開けると 外連味=俗受けを狙ったいやらしさ、はったり、ごまかし とあります ということで、、、残ったのはケレン味のなさ!ですよね 知ってて書いたのなら道場の裏に来てもらおうか!あはは 剣道では色を見せるなといいますね 建築でもちゃんと建築家が仕事して天井や床の隅の収まり(仕上げ)がきちっとしていてすっきりした家にはやはり一味違ういい住み手がすんでいるっていうもんです 金属器がいやなのはまず音ですかね 口に触れたときの味?もいやだし、、、こんなところでどうでしょうか魚住師匠
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M野
at 2013-09-12 23:17
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おっと寛太親方、この場合は歌舞伎や演劇用語のけれんみですよ。少し前の記事の流れから、わざと使っています。更に軽さを出すために「ケレン」にしてますよ。本来は大仰な宙乗りとかの芸をさす言葉ですが、文脈上、芸の技の冴え、と考えて頂ければ幸いです。
語源からちょっと複雑な経緯があるようで、わざとらしいのが大好きだった江戸時代では悪い言葉ではないようですが、それが嫌いになった後では「けれんみのない文章」(素直できれいな文章)みたいな褒め言葉になったりしています。現在は両方混在している状態なので、注意が必要な言葉でした。
秘すれば花、と言い換えるべきでしょうか。それもどうなのでしょうか。
語源からちょっと複雑な経緯があるようで、わざとらしいのが大好きだった江戸時代では悪い言葉ではないようですが、それが嫌いになった後では「けれんみのない文章」(素直できれいな文章)みたいな褒め言葉になったりしています。現在は両方混在している状態なので、注意が必要な言葉でした。
秘すれば花、と言い換えるべきでしょうか。それもどうなのでしょうか。
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寛太
at 2013-09-13 13:12
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魚住師匠もそういう使い方が歌舞伎ではあるとおっしゃっていました 勉強しました 広辞苑にでてなかったんで、、、花伝の書?見ればよかった?
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M野
at 2013-09-14 01:43
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ということで寛太親分、道場裏のバーベキュー大会どうしましょうか?前沢牛1頭手配しましたよ。楽しみにしております。
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うお
at 2013-09-14 06:26
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M野さん、寛太さん
お二人に任せている間、私はフライブルクに里帰りでした。60年間陶芸家活動を続けてきた女性の工房展覧会を是が非でも拝見したかったこと。ついでに美術館で、日本や中国の焼き物種類わけのお手伝いなどしてきました。それは陶芸への里帰りだったかもしれません。
美術館でのお手伝いは、日本・中国陶器をなぞったドイツ陶芸家の作品をこれは青磁傾向、これは益子傾向と分類しながら作り手のドイツ陶芸家が焼成方法・釉薬製造まで手本の真似をしたかどうかの判断なのですが、日本人の私がそれを判断させられてもつらいものがあったり。
その後86歳の女性が60年間作り貯めた代表作があつまった会場を覗きました。
こうして個々の陶芸家が自分の創りたいものを追い求め、探り、こだわった1品、1品を次々目にしてくると、器作りという180度違った方向の制作のようだけれど、もっと追求セナ、そぎ落とすなんてことも出来んなあ、と反省しきりです。
まだまだ先があり、その先に「芸の技の冴え」という意味でけれん味が備わってきたなら、登場する料理人の附けをうつことも出来るのでしょう。
ということで、バーベキュー大会の大皿お持ちしましょうか?
お二人に任せている間、私はフライブルクに里帰りでした。60年間陶芸家活動を続けてきた女性の工房展覧会を是が非でも拝見したかったこと。ついでに美術館で、日本や中国の焼き物種類わけのお手伝いなどしてきました。それは陶芸への里帰りだったかもしれません。
美術館でのお手伝いは、日本・中国陶器をなぞったドイツ陶芸家の作品をこれは青磁傾向、これは益子傾向と分類しながら作り手のドイツ陶芸家が焼成方法・釉薬製造まで手本の真似をしたかどうかの判断なのですが、日本人の私がそれを判断させられてもつらいものがあったり。
その後86歳の女性が60年間作り貯めた代表作があつまった会場を覗きました。
こうして個々の陶芸家が自分の創りたいものを追い求め、探り、こだわった1品、1品を次々目にしてくると、器作りという180度違った方向の制作のようだけれど、もっと追求セナ、そぎ落とすなんてことも出来んなあ、と反省しきりです。
まだまだ先があり、その先に「芸の技の冴え」という意味でけれん味が備わってきたなら、登場する料理人の附けをうつことも出来るのでしょう。
ということで、バーベキュー大会の大皿お持ちしましょうか?
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寛太
at 2013-09-14 09:25
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M野さん また狭い所に、、、牛タンいいね~ 塩だね いい酒飲みたいね~ 美味しそうなところの肉をそぎ落として持ってきてください
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M野
at 2013-09-14 11:47
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残念ながら牛肉は、ハンブルク空港で「転売の怖れがある」と押収されてしまいました。その他、「今日は菜食の日だ」とか分け解んないです。ソーゼージはどうなんだと食ってかかったら、「材料は肉だが様々なものが混入しており高度に加工され、厳密には肉ではない.
」と言われました。
いやーそんなこんなで、ちょっとバーベキューに行けそうにありません。
」と言われました。
いやーそんなこんなで、ちょっとバーベキューに行けそうにありません。
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junko
at 2013-09-18 12:34
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お久しぶりです。
恒子ちゃんの器はとても素敵ですよ。
我が家ではもったいないので棚に飾ってありますが、
使うともっといいということがわかりました。
大事にしま~す。
ユマは4月から中学の数学の教師になりました。バスケの顧問もしながら休みも返上して頑張ってますよ。
恒子ちゃんの器はとても素敵ですよ。
我が家ではもったいないので棚に飾ってありますが、
使うともっといいということがわかりました。
大事にしま~す。
ユマは4月から中学の数学の教師になりました。バスケの顧問もしながら休みも返上して頑張ってますよ。
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kokouozumi at 2013-09-19 04:47
Junkoちゃん
コメント嬉しく拝見しました。ありがとう。
飾るほどのものでもないので、どんどん使ってくださいな。
でもね、気持ちわかります、私もユマさんが届けてくださったお土産、大事に大事にしています。あれから1年ですね。
ユマさんはお会いした時、先生のお仕事がぴったりな人と感じましたが、やっぱり自ら楽しんでがんばっているのねと想像します。
今度はJunkoちゃんが登場する番よ!お待ちしています。連絡ください。
コメント嬉しく拝見しました。ありがとう。
飾るほどのものでもないので、どんどん使ってくださいな。
でもね、気持ちわかります、私もユマさんが届けてくださったお土産、大事に大事にしています。あれから1年ですね。
ユマさんはお会いした時、先生のお仕事がぴったりな人と感じましたが、やっぱり自ら楽しんでがんばっているのねと想像します。
今度はJunkoちゃんが登場する番よ!お待ちしています。連絡ください。
by kokouozumi
| 2013-09-10 06:00
| 陶芸
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