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いつものように、作業中に見つけた新聞広告は
こんな煙の中に人の手がわずかに見える奇妙なもの。
広告主はこの日刊紙発行元のFAZ(フランクフルター・アルゲマイン)だから
贅沢に見開き2面全面を使って、こんな煙にまくような広告を堂々と掲載している。


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左下の小さな囲いの中に、唯一広告的な文章がある。
『その背景には常に賢明な頭脳が隠されている』

その一文を頼りにFAZのサイトで調べたら、なんと
この青い煙はタバコの煙で、喫煙者Helmut Schmidt (ヘルムート・シュミット)ということだ。
三代前のドイツ首相が、右手しか写っていない写真を広告に使うなんてさすがに強気の新聞。
Schmidt氏、現在93歳は今なお健在な喫煙愛好家なそうだ。
撮影の合間にSchmidt氏がつぶやいた言葉として、
「政治家は彼の領域においてよい見本となるべきだが、人間生活のすべての領域に関してというわけには行かない・・・」


ああ、そういえば広告の右端にHelmut Schmidt の名前が入っている。

ちなみにSchmidt氏は毎日8紙の新聞に目を通しているそうで、FAZの記事では文芸欄がお気に入り。

FAZは1995年から、時の話題の人・場所・物事を自社の広告に反映させている。
たとえば、前の週はアメリカのコミック作品が使われていたから気が付かずにいたが、これまで80人の人物がこの新聞読者を募るキャンペーン広告に登場しているということだ。今回のように見開き全面の広告に目を留めた人は、Web上でその事柄の背景を知ることが出来る。その人物や事柄が最近のいつから(何年の何月何日からと明記されている)多くの新聞・雑誌メディアに登場しているかということまで、知らせていることから推測すると、この見開き広告を担当しているチームはモチーフとして、最近の記事として登場回数の多い人物や物事を選んでいるのだろう。

なんだかよくわからない紙面上の広告を見て、Web上でその意味を知り、さらに関連する記事を過去に遡って読むことが、興味を持てば出来るわけで、新聞を読むということを促す、面白い戦略だと思う。最近紙面をなくしWeb上のみに切り替えた新聞もあるが、FAZは逆にこのような広告や前面カラー写真、さらにイラストを効果的に使って視覚的にも面白い紙面へと、どんどん変化させている。




この広告紙面撮影に関するフィルムがある。
過去に取り上げた80人の人物の中で、好評だった場面の撮影風景がドキュメントされている。


下記のサイトを開いたら、写真が並んでいる左下のStartenをクリックすると映像が出ます(または真ん中の→を)
Making of Film: Die Klugen K�pfe hinter der Zeitung - Kluge K�pfe - FAZ











広告_d0132988_647516.jpg

しかし、私の周りで新聞といえば・・・パンク
新聞紙を開くと当然のように乗ってくる





広告_d0132988_648726.jpg

・・・
Commented by M野 at 2013-09-04 02:39 x
これは面白いですね。シュミット元首相だとしてもタバコまみれの映像は出しにくいものでしょうが、まあ堂々と出している。
ビデオで見る限り、私はいつでも新聞を読んでいるというメッセージ、もしくは紙媒体を支持していると言う内容なのでしょうが、銃弾が新聞をかすめている映像あたりから主旨が多様化しているみたいですね。

ところでヘルムート・コールって元首相の巨漢コール?
Commented by うお at 2013-09-04 05:54 x
M野さん
これを面白いといってくださる人が現れて嬉しいです。
この広告に関連するビデオや出演者のコメントなどを見る限り、FAZに限定した読者としてではなく日刊紙愛読者と表現しています。そう紙媒体の支持ですね。
銃弾の映像で登場しているのはテレビの刑事物シリーズで人気の女優さんです。そのシリーズである俳優賞も受賞していますが、第三世界の子供達救援など、多岐にわたる社会活動もしています。撮影中の談話の中で、「たとえ新聞を弾丸が通過していっても、毎朝の新聞を読む時間を失わないわ」という具合です。役柄と実生活をオーバーラップさせた、うまい表現ですね。

ヘルムート・コールは元首相の巨漢コールです。この写真撮影がいつのものか、さぐっていないのですが、すごいセッティングですね。

FAZは日本の経済新聞と言うことらしいですが、最近紙面デザインがどんどん面白くなっています
Commented by M野 at 2013-09-04 12:17 x
東西ドイツ統一を成し遂げたコールですよね。まあちっちゃくなったかな?タンカーの上でも見えるほどデカイというべきか。
日本人男子にコンプレックスを与えた人物に、マッカーサーとデンマーク・グスタフ国王がいると思う。まあでかい。グスタフ国王に至ってはボート競技のオリンピック選手。勝てません。コール元首相は、それに輪をかけた巨漢。それがG8とかで延々16年間見せつけられたわけで。ところがある時気がついた。中曽根だって小さくはないぞ?コールだけパース狂っていないか?と言う事で、ドイツでも例外的巨漢と解って、少しは落ち着いたものでした。

しかし社内広告にここまでのカネと労力をかけるとは。出来上がった画のガッチリした感じが凄いですね。
印象派風の写真が気になります。
Commented by うお at 2013-09-05 06:28 x
M野さん
タンカーの上でもデカくみえるコールということで、もう探ってみるしかないですね。2009年10月、FAZ60周年記念に掲載された広告でした。
FAZは莫大な投資と戦いの連続の果て、いまや巨大タンカーのように動くのが大変になってきた。しかし老いぼれたくなかったら常に建て直し続けよ!という自らへの鼔舞にコールを登場させた・・・という図です。
さらに読者の利害関係と競争相手の出方を待ち望む、と戦う気力も見せているようです。

印象派風というのは庭園で撮影された2012年就任のヨアヒム・ガウクドイツ連邦大統領ですね。東独出身で就任のスピーチを「今日はすばらしい日曜日・・」とはじめたのです。それは東独にとって政治的な意味をもつ22年前の日曜日を含んだ発言だったのですが、FAZの撮影ではビューティフル・サンデーのイメージかな?これは私の想像ですが。

この自社広告は月に一度日曜版に掲載されるのですが、こうなってくると次のが楽しみです。
by kokouozumi | 2013-08-25 06:31 | Comments(4)

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by kokouozumi