Trippen

この際、手工芸とか職人のテーマを続けてしまいます。
職人の活躍は、開花しそして衰退していくという歴史が、これまでの時代ごとにあったと思います。産業革命によって、蒸気機関が取り入れられたり、電化による電気モーターの出現は、決して職人を退ける事情ではなく、重労働が少し緩和される、むしろ助けになった変化だったでしょう。オイラーの町でも蒸気機関を利用した土練機が登場して(1864年になってですが)、ボイラー係という新たな名誉職が登場したり、電気モーター轆轤になって(1920年代)、親方と轆轤師のどちらが電気代を持つかで、一悶着起きたり、何か職人の世界の新風として感じられるエピソードでした。しかし強力な影響は、小刻みに訪れる生活革命と呼べるものだったと思います、ペットボトルで飲料水を購入できる現在、かつてオイラー達が炻器を塩釉で焼き締めた水瓶を作っていた時代に逆戻りすることは不可能です。(すみません!オイラーの話がちらつきますが)それからもっと怖いのは、Tarutaruさんの指摘する経済侵略というウェーブかも知れません。

中国からやって来るバイオリンの驚異を知っっているピルミンが、ある日やってきていうことに、「KOKO!Aldi(チェーンスーパーの名前)で四角いお皿を売ってるぞ!敵だな」スーパーの四角いお皿なんて敵じゃない!と思っているうちに、あっちこっちで白いだけじゃない、織部のだって、天目のだって四角いお皿が登場し始めました。いえね、ヨーロッパの丸いお皿に対して、四角は和食器の象徴みたいなものです。四角ければ、手作りであろうと何であろうと鮨がのせられると考えるのが、大衆的な動きというものです。「う~ん、ならば、こっちのほうが美味しく見えるでしょう?美味しいでしょう?と、自作器を使った食事会をするしかないか。」「そんなのご馳走様で終わりですよ。(N氏の忠告)」和食器をヨーロッパで製造する身のまわりにそんな状況があるのですが。

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こんな記事を見つけました

DB(ドイツ鉄道)マガジンで見つけた、一見ポップな靴屋さんの記事です。
* 今から13年前、たった二人の男(当時32歳)と女(28歳)が独自のデザインで靴の製造工房を立ち上げた。名前はトリッペン(Trippen)。トリッペンとはドイツ中世に流行った、靴先が上に反り返ってとがっている木靴のこと。靴職人の女性は靴の歴史に出てくる、その形に見せられてしまった。中世の時代にどうしてその靴が流行したかなどの、もっと詳しい面白い話があるに違いない。なぜなら靴職人の女性は、木靴の形を現代に再生させるにあたって、素材のボンド張り合わせということを、一切諦めたのだ。(これを読まれている皆様、一度自分の靴をご確認ください。私ので、底部と上が縫い合わせと思われるのは一足だけでした。)それから10年、なんと600種のデザインを作りつづけてきた。彼らには休日というものがなかった。徐々にその靴が知名度をえてきたのは、目立った、意表をつくデザインからばかりではなく、何よりも履き心地のよさ、それに耐久性のよさだったそうな。売れるようになって、大量の注文をこなす工房として、彼らは又神話を持ち出した。製造をイタリアの伝統的な靴職人の村に依頼することを考えた。その村は親子三代、靴を作りつづけていたような土地だが、最近の安い靴に押されて、殆ど枯渇しそうになっていた。今では子も父も時には祖父も、その土地では200の工房でトリッペンを作っている。そりゃー、うまいに違いない。本当はボンドで張ったりしない靴を作りたかった人たちだもの。2006年、ベルリンのトリッペン二人組みは本屋さんメッセに登場した。600ページの本を作ったのである。その中には600種のデザインと600年以上の靴の歴史と伝統と靴職人の製造工程が愛情込めて網羅されている。現在の年間製造数約12万足(ペアで)二人ははじめて、休暇を取ろうと思ったそうだ。
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# by kokouozumi | 2007-10-08 07:47 | Comments(6)

身近にもいた! マイスター

オイラーの存在に関心を示してくださった方が、このページ内のコメントばかりではなく、私のメールにもお便りをくださいました。下記のような日本の大変興味深い事情もありました。

* オイラー、興味あります。日本でも土管や水道管を作る陶工やレンガやタイルを作る陶工がいました。数は少なくなりましたがまだいるかも知れません。特殊なのでは光学ガラスを溶かするつぼを作る職人がいた様です。風呂桶サイズの巨大なるつぼです。もちろん陶器です。また溶鉱炉のレンガなど近代産業を支えた人たちでした。
 興味深い職人の世界なのですが、あまり語り継がれる事なく今日に到っているのが残念でした。(岩手県 M野氏 写真家)

オイラー 陶工 職人と言葉が続いてきましたが、ここで忘れてはいけない!
私の住んでいる家のマイスターを紹介しなければ。
ピルミン・アンダーナッハ(Pirmin Andernach)氏 1951年生まれ。大家さんの息子さん。(大家さんも幅広い職人芸の人なので、いつか登場します)父親が趣味に、古典楽器を自己流で作るのを見て育ち、アビテュア(大学入学資格)を取得後、69年から73年までミッテンヴルダー(Mittenwalder バイエルン州)のバイオリン職人学校で学んだそうです。少人数(約15人前後)の同級生のうち、現在も職人として仕事を続けている方は少ないようです。同級生の中に日本人もいて、その人は日本と主にイタリアを行き来しながら、バイオリンの買い付けをしていたとか。彼との縁で、ピルミンさんも数回日本に行ったことがありました。当時、経済成長期の日本では、バイオリンを求めるいわゆるハイソサエティーな世界を垣間見たそうです。「どの家、どの会社を訪問しても、美しい和食のテーブルを囲むことになって・・・」と、そのとき覚えた魚の味が忘れられず、いまだに贅沢は魚にあり、ということで、休暇は必ず海のそばに行きます。しかし普段神経を張り詰めた仕事をしているので、休暇のプランなんか面倒。それでネッカーマン旅行社です。戸口にタクシーが迎えにきて、滞在先のホテルに、三食の食事込みという、休暇に突入した瞬間から、何もしなくていいというパッケージ旅行です。

77年にマイスター資格を取得、78年一年だけ、バイオリン製造会社に勤めた後、実家に開業し今年で30年になります。仕事に集中するために、ピルミンの仕事場は薄暗い。半地下にある仕事場には窓からの明かりが入ってくるだけで、他には電灯 がついていないのです。この暗い空間に関しては、私も同感できます。明るいうちはなんとなくそわそわして、夕方5時過ぎから、やっと轆轤の前に落ち着く覚悟ができるというものです。しかしピルミンは外が明るい昼間も、暗い部屋の中で、黙々と仕事します。朝7時から夜中の1時まで続けていることがあります。疲れないの?と聞いたら、昼間はお客の出入りがあって、制作はやっぱり早朝か、夜に集中するのだそうです。高い買い物のバイオリンやチェロを物色に来るお客様は、じっくり時間をかけて選びますから、接客も相当疲れるようです。

ここ数年、中国の安い、でも質のいいバイオリンがどんどん入ってきて商売は難しくなったそうです。一時はロンドンのオークションで古い楽器を見つけたり、ついでに家具の買い付けをしたり、そのようなことを頼むお客も少なくなったそうです。

マイスターの仕事場風景を写してみました。窓の外には奥さんが美しい花壇を作っています。
子供はいなくて、アルプス犬がいます。


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# by kokouozumi | 2007-10-06 02:33 | 人々 | Comments(2)

オイラーが ・・

タイトルについて一言。
このオイラーが意味するのは、おいら(俺)のことでも、ふくろうのことでも(ドイツ語のEule=ふくろう)、スイスの数学・物理学者のことでもありません。

ドイツのある地域に、そう呼ばれた陶工たちがいました。たとえば日本では有田の陶工といったら、イメージしやすいでしょう。

別の地域では陶工のことをハフナーと呼んだりします。オイラーもハフナーも、そのような名称を知る人は、ドイツの中でも少なくなりました。彼らは1960年代までに、その生業を次々止めていくことになります。その後、今の陶芸家(アーティスト的な)に移行することはなく消えていった人々。

それでオイラーが一体どうしたの?オイラーがいた?何を作った?オイラーが・・

ドイツに住みだして10年が過ぎました。小さな一地域の中でさらに、小さな人と言われながら、短い運命をたどった彼らのことが、気になります。この人々、オイラーが・・ 一体なんだったのかを、頭の中で追いかけながら、この日記が始まりました。

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オイラーの家
昔=ザウアークラウト壷が山済み1940年/現在も陶芸家夫婦が住んでいる2007年
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# by kokouozumi | 2007-10-01 23:02 | オイラー | Comments(8)

始めました!

何処で何方が読んでくださるのか、今のところ全く不明ですが、もし私を見つけたら、連絡してね。
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# by kokouozumi | 2007-09-29 11:00 | Comments(5)


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