キンダーランドとコルチャック先生










キンダーランド、こどもの国というプロジェクトは近年、子供達の社会教育を目的としてドイツ中多くの都市で展開されている。発祥を辿ればミュンヘン市のミニ・ミュンヘンに行き着くだろう。2003年頃から2年ごとにオリンピック競技場跡地という広いスペースで、学校の夏休み期間を含む2ヶ月間だけ発生する子供自治の町である。
この町を訪問することは一日でも可能だが、この町の自治体に参加するには、相当の日数と忍耐と経営手腕を要するらしい。この町で就職したいならまず職安を訪れなければならず、この町で自営業を営みたいのなら職業訓練所に通わなければならない。時には営業許可を正式に取らないで開業してしまう子供マフィアもいるらしいが、子供警察がめを光らせている。また営業許可を取得しても、規定の建築基準にそぐわない店作りをした場合は、裁判所行きともなる。そこでどのような判決が下されるかも、すべて子供達の手に委ねられている。この町では独自の通貨があり、商売がうまくいって巨額の富を築いたとしても、その財産はこの町で消費するしかない。首尾よくもうけた子供は家を建てることが出来る。家といってももちろん子供なら一度は試みるような庭先の樹の家に近いものだが、そのための大工もいる。施工主の希望をさらによく表現できる大工もいれば、駄目な大工もいる。駄目なら仕事が来ないから失業し、また職安を訪れて一からやり直し・・・

2ヶ月間に繰り広げられる巨大な構造を持つ子供の遊びかもしれない。しかし、このミニの町で失敗したり、破産したりする経験を持つ子供が、やがて大人になり本物のミュンヘンの町を闊歩するようになったら、と考えると、現在良好なミュンヘンの経済状態を維持する底力がどんどん増えるのかもしれないと想像してしまう。

地域通貨という概念がミニ・ミュンヘンの重要な要素になるのだが、自由経済主義の本来の意味を解き明かそうとした同じミュンヘン出身の作家、ミヒャエル・エンデがいる。彼の思想が日本で紹介された一時期、日本でも300もの地域通貨制度が生まれたらしい。ドイツでは、ギムナジウム学園祭システムにこの地域通貨が取り込まれた例を、私は実際にその場を訪問して確認したことがある。訪問者はまず学内銀行に行き、その場所の通貨に両替しなければならない。その学園祭で同僚の寛太氏の息子が焼き飯屋を経営することになした。必要な食材をあらかじめ市場(学内の)に届けていたところ、市場内の管理が最初から破綻をきたし、品不足が頻発した。子寛太は、即座に親寛太に連絡し、外部からの食材持込を手配して(特殊な食材や非常時には許可された)営業にこぎつけた。他の店はまごまごしているばかりで営業出来ず、焼き飯屋は大繁盛し大もうけした。この市場破綻の余波で早くも倒産した店の従業員を彼の店で雇うことにもなった。しかしもうけた地域通貨はその場でしか使えないから、忙しすぎて買い物にもいけない子寛太は、大統領の給料よりも多くの金を所有しながら、どうしようかと思ったそうだ。

ドイツでキンダーランドを言う時、このようにミュンヘン、ミヒャエル・エンデが連鎖反応的に思い出されるのだが、私はあるとき、キンダーランドの始まりはコルチャック先生にあると、聞いた。

コルチャック先生といえば映画にもなったが、第二次大戦時代ユダヤ人の子供達と共にトレブリンカ強制収容所で生涯を終えたという、ホロコーストが語られる中で登場する人物である。そのダークな印象が強くて、とっさに、どのようにキンダーランドとコルチャック先生が結びつくのか聞き返すことを躊躇した。

今年11月日本人会の催しの中で、再びチャリティー企画を行った。タイトルはキンダーランド。支援の方向は昨年から続行している、石巻・渡波地区の『巻きっ子ドリプラ』。2011年津波から立ち直ろうとしている町の子供達が夢を語るプロジェクトの応援。昨年は参加者を子供に限定しないでチャリティーワークショップやバザーを行った。今回はさらに子供達の夢という部分で共通するように、こちらのチャリティーにも子供達が大いに楽しんで参加できるようにと、キンダーランドを雛形にしてプランしてみた。たった一日の催し、しかも始めての試みなので、さすがに地域通貨を取り入れることは出来なかったが、世話役を子供スタッフにお願いした。結果的に昨年のワークショップ参加者は多いときで5時間で30人前後だったが、今回のキンダーランドには4時間で60人以上の子供達がわんさかやって来て、大成功!

キンダーランドというタイトルを拝借して、子供達のパワーを目の当たりにした時、ふとキンダーランドについて語った人が、帰り際、駅のホームで「その発端はコルチャック先生にある・・」と言い残したことを、今なら追いかけてもよいかな、と思った。

続く





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あのお客様、5歳以下の踏み切り場所は3つ前の青い線ですが・・・




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やっぱりそこから、いきますか?おっとそう振りかぶって・・・投げますか






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いけ~~~








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おや、的の中は空っぽ・・・あのお客様、もう営業は終了しているようですが・・・
えっ、もう一回挑戦されますか・・・










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by kokouozumi | 2014-12-07 06:00 | 人々 | Comments(0)


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