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カントリーウェスタン調のジャマイカ・ボブがソチに登場






新聞のスポーツ欄にそろそろソチ冬季オリンピックの記事が並び始めると、まず飛び込んできたのが、緑と黒のユニホームでヘルメットを抱えた選手団の写真。お~~これはあの映画に登場したボブスレー選手のユニホームではないか?そう私は昨年冬マイナス15℃だった日の夜、電車乗り換えのホームに立ちながら、この映画のことを思い出して一人不気味に笑っていた。その時、ジャマイカだったか、アフリカのどこかの国だったかと曖昧な記憶だったのが今はっきりした。映画のタイトルが『クール・ランニング』(1993)といいことも。





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『クール・ランニング』のストーリーは・・・ジャマイカのオリンピック出場選手選抜大会の場で、有力候補だったスプリンターがアクシデントのため出場権を得られなかった。オリンピック事務所にごねたが決定は変わらない。事務所の壁には歴代オリンピック選手として、彼の父親が誰かと一緒の写真もあった。事務所長は、その一緒に写っている人は冬季オリンピックでメダルを取ったが、今もジャマイカに住んでいると説明する。スプリンター選手はその人物がボブスレー選手であり、ボブスレーとは何なのかも聞かないまま、2年後の冬季オリンピック出場に夢を託してしまう・・・と始まる。

ディズニーのこの映画は、ジャマイカのスポーツ事情をよく織り交ぜて、ストーリーを作り上げたと思う。ジャマイカにはスター・スプリンター、たとえばボルトがいる。映画は1988年カルガリーオリンピックにジャマイカ・ボブスレーチーム初出場がたたき台になっているが、その時まず陸上選手の中でボブスレー勧誘を行ったが、誰も反応せず、国防軍から3人が体力テストの結果選ばれ、もう一人は電気技師が名乗り出たということだ。その後のオリンピック出場選手は、足の速い選手が選ばれているというから、軍人からスプリンターに入れ替わっている可能性もある。ジャマイカではソープ・ボックス・レース(エンジンの無い箱車による子供の自動車レース)が盛んで、それはボブスレーと同じようにスピードに乗るまで、大人が箱車を押して走り、飛び乗るという競技で、映画でも重要なストーリー要素として登場している。始めはその箱車から車をはずして、練習を始めるという。

『クール・ランニング』は独逸でとてもヒットした映画で、冬季オリンピックの年になると、毎回この映画がテレビに登場し、そのたびに独逸人は、今回もジャマイカチームが出てくるだろうかと思うらしい。カルガリーでは映画同様、ソリの転倒という結果だったが、その後のチームは、世界の注目を集めてただ出場するだけに終わらず、成果も伸ばしてきた。1992年の4人乗りチームは、アメリカ、フランス、ロシアチームを差し置いて14位。2人乗りは10位。2002年のソルトレーク・シティでは2人乗りで参加し、順位は28位と振るわなかったが、ウィンストン・ワットとラッセル・ブラウンのチームはスタートレコードを作っている。ブラウン選手は2002年以降カナダチームに移籍して、2006年には銀メダルを取った。ワット選手は引退した。

その後、ジャマイカのボブスレーは選手不足とジャマイカオリンピック委員会の資金不足で2006年、2010年の2回は出場できなかった。今回のソチ出場は引退したはずのワット選手がカムバックし、インターネット上で出場資金を募って実現したという。韓国企業サムソンがスポンサーに名乗り出て、アメリカのワイオミングでのトレーニングを援助した。『氷の上の最も熱い奴ら』とモットーを掲げ、もはやボブ・マリーではなく、テンダー・バーでギター奏でるジョニー・キャッシュに乗り換えて、今回はやって来るらしい。

ワット、46歳。2月16日のボブスレー競技に、ワットとディクソンのジャマイカ2人乗りチームが登場。








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クール・ランニングのシーンから
by kokouozumi | 2014-02-07 07:23 | 人々 | Comments(0)

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by kokouozumi