レパントの海戦

レパントの海戦 
歴史の話ではなく、CY TWOMBLYの 絵の話。


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ミュンヘンの美術館といえば 断然ピナコテークの知名度が高い。
Pinakothekのギリシャ語語源には絵画収集の意味もあるらしく
まさにバイエルン州で収集された絵画作品が州都のミュンヘンに
まとめられて収蔵・・・なのだが、
旧・新・モダン ピナコテークにSchack卿の収集館(19世紀の絵画収集家)
さらにBrandhorst(ブラントホルスト氏)収集館
と5つの美術館がミュンヘン・ピナコテーク グループになっている。

モダンピナコテークのすぐ裏手に建つBrandhorst美術館の外壁は
このように鮮やかな色彩に焼かれた陶製の棒で覆われている。

CY TWOMBLY(サイ・トゥオムブリ)のレパントの海戦、12枚のシリーズは
2009年にオープンしたBrandhorst美術館の最上階に常設展示されている。
このシリーズを収蔵する経緯にも、ある著名な館長が登場している。

Armin Zweite 氏が現代絵画収納ではドイツ一を誇っていたデュッセルドルフのNRW(州の名前)美術館からBrandhorst美術館に移り、レパントの海戦シリーズの収納を指揮している。









CY TWOMBLY(1928-5.Juli.2011)はローマに住んだアメリカ人現代アーティスト。
彼の作品はアメリカで制作していた時代のものから、亡くなる直前の2010年作品まで、抽象画ファンを魅了し続けてきた。

長い間ローマに住んでいたが、その家の地下にディスコが入ってしまうと、Gaetaという港町の別荘に殆ど居住するようになり、そこで多くの海を捉えた作品が生まれる。
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Gaeta 1993年 四季のシリーズ 秋



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船のスケッチ



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Gaeta 2000年 レパントの海戦シリーズ の1枚



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Brandhorst美術館 レパントの海戦 展示室




2009年Brandhorst美術館オープン時には
CY TWOMBLYがやってくるというので、多くのファンやジャーナリストが待ち構えていたが、彼は現れなかった。あとで判ったこと、彼は来ていた。美術館内に入りきれない見学者と共に、外をうろうろしていたが、あきらめて(嫌になって?)ホテルに帰ってしまった。その日も結局、彼を待ちわびた人々は、『CY TWOMBLYはものすごく控えめな人間』という神話を思い出すしかなかった。




しかし、あるジャーナリストはあきらめず、『それなら、こっちから押しかけよう』と
Gaetaの港町へ。レンガつくりの小さな建物が幾つも重なり合って、まるで城砦のように見える家の金属ドアをノックしながら、
ある人間嫌いな画家のようにいきなり銃を向けられることはないにしても、もしかしたら既に彼は山の中に逃げていき、一日中出てこないかもしれない、と思った。

中から『タイガー』と怒鳴る声がして・・『虎が出てくるか』と思ったら、タイガーという名の、柔和な印象の執事が迎え入れ、ラビリンスのような小さな階段の連なりを案内し、中庭に座ると、冷えたイチヂクとワインが出てきた。そしてCY TWOMBLY本人が現れた。私たちの後ろには、この季節にしては明るく輝く、静かな海があるだけ。CY TWOMBLYはオデュッセイアの話をさりげなく始める・・・
と、報告している。





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by kokouozumi | 2012-09-17 09:18 | 美術 | Comments(8)
Commented by M野 at 2012-09-18 03:21 x
記事が更新された直後のに見た時には、なんでこの画に価値があるのかと思いました。
所が、中国の漁船があの島に押し寄せるかも?という報道を見てから、この画のメッセージが理解出来ました。
身に滲みます。
Commented by うお at 2012-09-18 05:49 x
M野さん
タイムリーすぎました。しかしそれは、CY Twomblyの力であり、メッセージです。
Commented by 河西文彦 at 2012-09-18 12:19 x
子共のころ私が書きなぐった「絵」かと思ったら レバント さんの海戦でしたか?何かが起こっている中国中枢に 無知なる民衆をたきつけて燃え上がりに 手が付けられないのでしょうか?無感心を装いながらもメイドインチャイナに対する 不満が高まり、かえって中国は不利になりますね。12月までの世界中の 変化(変容)が愉しみです。
Commented by M野 at 2012-09-18 14:12 x
おもえばレパントの海戦て、ガレー船による最後の大海戦でしたね。このあと帆船に船は取って代わり、この海戦が実質的に海上における最後の肉弾戦になったと記憶しています。
と同時に、最後の十字軍でもあり、トルコに勝ったものの最終的になんの利益も生まなかったという、不毛さもある戦いですね。
ベネチアの黄昏のはじまりでもありますね。
そういやこの海戦に、「ドンキ・ホーテ」のセルバンテスが乗っていました。
Commented by うお at 2012-09-19 07:46 x
河西さん
最近、世界のニュースを耳にすると、奇妙で重苦しい気分になります。
美術館でこの絵を見ていたときは、ほっとしました。
軽快なんです。潔いというのか。かきなぐりのようで、CY Twomblyの絵は、いつも清潔感があり、それが好きです。
Commented by うお at 2012-09-19 08:04 x
M野さん
ヨーロッパの海が地中海だけだった時ですね、ガレー船は。
それから外洋に漕ぎ出すことになったのはルネサンスの三大技術、火薬・羅針盤・活版印刷の賜物ですが、それらはすべて中国の発明 によるもの。
セルバンテスがこの海戦に?知りませんでした。その頃の人だったのですね。最近ではチャールトン・ヘストンがガレー船にのっていますが、ハリウッドで。
Commented by 寛太 at 2012-09-20 07:19 x
お久です
今回2度目ですが魚さんと見てましたので 感想を一言 
まるでヘリで上空から見ている映像のようでこの部屋に入るとみょうな速度間を感じます
絵の具がたれていく速度はまるで船が沈んでいくような、、、不思議な哀れみを感じます 
赤や黄色の絵の具のたれているところからは人間のうめき声も聞こえます 
でも不思議にさわやかです おどろおどろしくない 
人のやることなんて所詮こんなものなのだ という天の声も聞こえます
ワグナーのワルキューレも聞こえます ヘリの音と共に、、、、
Commented by うお at 2012-09-21 17:42 x
寛太さん
実際に会場で、このシリーズに接した臨場感のある感想をを有難うございます。私のメモにはそれが不足していましたね。

会場でも、絵の具の流れ具合について感心して話し合いましたよね。
どうして、なかなかコントロールしているではないかとか、彼のアトリエの床はどうなっているのか?とか。この画家の絵を見ていると、思いつくこが楽しい方向に向かいます。50年代から90年前半までの作品をまとめた画集を眺めていても、どの絵も爽快に感じられます。

それからCY Twombly 70歳を過ぎて描いたこのシリーズが、描く精神力の力強さを、見せていることにも感嘆しました。

久々、絵を眺める時間を作ったら、この作品に出会えて、幸せでした。


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