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オイラー 2011 その4 帰還








へーア・グレンツハウゼンのオイラー窯焼成は24日夕方7時ごろ終了。
多くの見物客は去っていき、その人々にビール・ワインからスープ・料理パンをサービスしていた学校事務局、学生も帰り、人々の応対に疲れ知らずの会話を続けていた所長のブランド氏の車も去り、最後まで残っていたのは焼成責任者のM氏。彼は焼成を終了して焚口や窯側面の塩穴を目止めしてからも、窯内部で蒸発している塩のガスが抜けきるまで、窯天上の煙突穴を少しづつ閉める作業を続けていました。塩のガスが残ったまま、窯を閉じてしまうと塩釉ににごりが生じるのだそうです。

そして誰もいなくなったのは9時過ぎでしょうか・・・いえ、オイラー窯の間、毎晩やってきていた近所の三毛猫が今日も最後の巡回を引き受けています。
濱田氏は夜半に窯屋へ侵入しようと試みたのですが、しっかり者のM氏がどの扉にもしっかり鍵をかけて帰ったため、断念。

25日、IKKGのゲストルームで濱田氏と私は、日曜朝の子供番組、チンパンジードラマを見ながら朝食を食べ、バーナード・リーチの独特な性格について話をしていました。
異邦人であるゆえに大変フレンドリーに誰とでも付き合ったリーチが、濱田庄司と柳宋悦を、富本憲吉と宋悦を結び付けたのだそうです。日本人同士なら接点の起こり得なかった人脈がそのように成立したのだそうです。









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それから私たちはコブレンツを経由し、ライン河沿いの電車の旅を楽しみました。
へーア・グレンツハウゼンから観光で訪れたラインとモーゼル河の合流地点を、今度は車窓から眺めました。

へーア・グレンツハウゼンを中心とする塩釉焼成の窯業地では、土や木の入手にライン河の交通を利用する必要はありませんでしたが、昔の製品出荷には重要な経路だったはずです。船に荷物を積み込めばライン河の要所に流通のシステムが整っていたはずです。いえそれ以前にこのラインをローマ人が辿ってきたことから、この土地の窯業の歴史が始まります。もっともっと遡れば、ライン河とその流域に豊かな土の産出を可能にした土地の成り立ちがあります。オイラーはライン河方向から西風が吹く季節の窯は、どう焚くべきか知っていたでしょう。その土地の成り立ちと、そこに住む人間の頑固さは切っても切り離せないものとして、その土地に影のように付随していることを、面白く思い出しながら、へーア・グレンツハウゼンの町から遠ざかって、それぞれの帰路につきました。



さて、塩釉焼成に関しては、徐々にまとめてみます。
Commented by 河西文彦 at 2011-09-26 14:22 x
バーナードリーチ に因る 人と人の出会い!カテライザーとなる奇特な人って(チャンス、縁)て居るんですね。40年前にコブレンツのユースに宿泊した時 夜は久しぶりに日本人は俺一人と喜んでいたら、翌朝は隣のベッドにしっかり日本人が居ました、あのころ知り合った日本人と今でも付き合っています。縁は異なもの 寛太さん??
Commented by M野 at 2011-09-27 02:00 x
窯焚きおつかれさまでした。容積の割には、以外と短時間のようですね。
窯焚きと言えば猫ですね。余熱があるから集まってきます。猫ではないですが以前藤沢町で、ゴールデンレトリバーが来た事がありました。なんが番犬に一時的になっていましたがどうなったのでしょうか。
このとき、窯で出てくる煤を使って眉毛を書くとうまく行くのが発見されました。多分猫でもうまく行くでしょう。
動物虐待かな?
バーナード・リーチですが、チロっと前に書きましたが、イギリス人でカソリックだったのかという疑問があります。その辺せっかくなので聞いてみてください。
Commented by うお at 2011-09-27 07:32 x
河西さん
バーナード・リーチの知られざる側面・・のような話を今回は聞きました。周りのみんなが彼の行動を心配して、面倒を見ているうちに一塊の結束が出来ていく・・まさに触媒ですね。

コブレンツはきれいな町でした。「ここには魚がありそうだ!1600何年創立!絶対魚がありそう」と、信じて昼食に選んだレストランは、なんとミュンヘン・ビアホールの支店で、結局ソーセージを食べてしまいましたが。今年は庭園ショーが開催中でにぎやかでしたよ。
Commented by うお at 2011-09-27 07:55 x
M野さん
このタイプの窯は、ものすごく厚い壁の塊で、しかも5年焚いていなかったので、以前の塩が呼び込む湿気が心配されました。結果的には順調で、予定どうりに進行しました。塩の直前に、町の人々が次々見物に集まってくるのですが、それがまた、とってもタイミングよい。そういえば昔のオイラーたちもそれぞれの窯によって、焼成時間が違うものの、終了は土曜日の夕方と決めており、日曜日には親方も職人も休めたということです。町の人々はそのような伝統時間割りやさらにその窯の癖を読めるような感じでした。

犬君も来ていましたよ。夕方にはいなくなり、すると猫ちゃんがやってくるのです。両者とも眉毛はかかれずにすみました。

リーチはバハイ教だそうですが、確か日本で知り合いに感化されたと聞きました。それでイギリスでは結構世間の目が冷たかったそうです。

Commented by M野 at 2011-09-28 01:14 x
リーチはバハイ教ですか。ウイキで調べてしまいました。ついでに日本のホームページを。全く知らない宗教です。
リーチの生い立ちなどからの、苦悩を感じます。
さて窯だしですが、もうそろそろですね。もしかすると終わっている?
Commented by 河西文彦 at 2011-09-28 05:10 x
M野さんに習って,ググって見ました。リーチと 小泉八雲 そして
バハイ教、、他の宗教を否定しない バハイ教に 好意を持ちました。
外から 日本を 見るほうが 本当の意味で日本を知ることが出来そうですね。偶然 貝外に居る我々も(私)日本のいいところばっかり見えます。
Commented by うお at 2011-09-28 06:10 x
M野さん、河西さん
知らない宗教ですよね。リーチのことも、民藝も、濱田庄司も柳宋悦も余り知らないのですが。ドイツに来てからある独逸人の知り合いが、とても良い本だと教えてくれたのが、リーチ監修の「簡素なものの美」という本でした。民藝館所蔵品数点の写真が載っていて、民芸品の美しさを、外国に来て改めて感じさせられたので、河西さんの気持ちが良くわかります。

窯出しはまだです。何しろ城壁のような壁をもつオイラー窯ですから、さめるまでに相当時間がかかりそうですし、今週末からドイツでは連休が入るので、その後になります。
by kokouozumi | 2011-09-26 05:35 | オイラー | Comments(7)

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by kokouozumi