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Unen Enkh













日本へ帰国する前、Enkh(エンク)さんから案内が届いていた。
フライブルク・モラートインスティテュートでの展覧会で、モラート財団は美術のパトロンとして、モランディという静物画家の作品をまとめて所蔵し、その作品カタログを何冊も作っているが、最近は現代作家の展覧会を続けている。モラートインスティテュートで作品を発表すると「ついに、あそこでやったか」と、友人・知人から祝福されることになる。だからEnkhさんの展覧会をその会場で見ることを楽しみに、日本から帰ってきた。



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モラートインスティテュートは土曜日しか開いていないが、会期が2ヶ月以上と長いので、見たいものを見逃すことは無い。二つの会場があって、どちらも広い。在庫の作品を適当に展示してもつような空間ではない。そんな会場を二つとも使いこなすのは難しいのか、一つの会場のみと制限があるのか、大抵は二つの展覧会が同時におこなわれる。

今回はEnkhさんの「針金?鉄棒?作品」と、もう一つは写真展Roma(ロマ)という放浪の民をヨーロッパ中に訊ねたものだった。



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Enkhさんの会場の入り口に、「会期中に本人撮影の会場写真を網羅したカタログが出来上がります」の案内があった。そのインフォメーションと入り口からちらっと覗いた光景で、すっかり私の撮影意欲がなくなってしまった。単体としても群としても美しいマチエールを描く会場風景だが、今回のそれぞれの作品は背が高すぎて、アングルが選べない。それにあの細い針金の集積に、空間を持たせて写すなんて・・・

それより、本人がどんな撮影をするか、つまりそれはこの作品の作者が何を考えているのかに迫るようで、もう待ちどうしモードになってしまい、写真撮るのはヤーメタ、ということでのんびり見ることにした。

でもこの馬はすごい3mあるかな!
なんと向こうには作りかけのパオまである・・・



どうしても、職人的な見方をしてしまうが、Enkhさんが針金をジョイントした痕跡は、どれもが作品の美しいディティールとなっている。やった仕事の全てが、使った素材の要素を邪魔しなければ、つまり素材を殺さなければ、そのように見える。繊細な計算で、できることだろうか?私の職人の頭では、どうしても手で覚えたとしか、考えられない。余計な説明でEnkhさんごめんね。


Enkhさんのことは以前にもメモしています。
Unen Enkh

展覧会は8月14日、22日、29日の土曜日にまだ見ることができます。
会場 Morat-Institut für Kunst und Kunstwissenschaft
Lörracher Str. 31, 79115 Freiburg I.Br.
Samstag 11 - 18 Uhr
Commented by 河西文彦 at 2009-08-11 12:32 x
「ロマ」に関心持っていました、日本では「サンカ」という流浪の民も居ました。先日は イラク国内の芸術家が 集められた武器を 解体して「平和」をテーマに オブジェの展覧会していた。
Commented by M野 at 2009-08-11 19:51 x
 どうやって搬入したんでしょうね。馬の後ろにある倒れそうなやつなんか、ピアノ線くらいの強度がなければ難しいですね。
 針金が空間を縛って行くのは、現地でないと伝わりにくいですね。写真撮らなくて正解です。
Commented by うお at 2009-08-12 06:07 x
河西さん
イラク派遣のアメリカ兵に自殺者が多くなったそうです。武器をどんどん解体して、武器商人もオブジェコレクターに・・・ならないだろうなあ。

日本のジプシーとも言われる山窩(さんか)は蓑やざるを編んでお金にしたということですが、ロマも篭つくりをしたり、歌や踊りの大道芸人だったり、定住しない生活のなかで、お金に換える方法はどこも同じということなのでしょうか。
Commented by うお at 2009-08-12 06:33 x
M野さん
ほんとにどうやって搬入したんでしょう。一度解体して会場で組み立て、会場で続きを作った、いや無理やり搬入した!(いやしかし、大きな搬入用のドアがあったかな?)など、作品をみながらいろいろ考えました。

それから、これまでの針金がすっくと立ち続けるために、メインのオブジェと見せかけて、何かしらの物体を真ん中に吊るす方法から、今回は目を付けられたように倒れる作品が登場したのです。それは本当に針金の強さが作品の動きになっているので、ますます搬入が難しい。パオもね。

モンゴル式の解体と組み立ての方法があるのでしょうかね。

そうなんです。様々なニュアンスの線が包み込む(縛るというのは楽しい表現です)空間があって、この展覧会は成り立っているのです。それらが前後や大小目に入って、時々フェルトの面が有ったりしますが、あくまでも立体的なデッサンなのです。
by kokouozumi | 2009-08-09 07:10 | 美術 | Comments(4)

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by kokouozumi